【呪術廻戦】嘘つきな猿

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"そうですね。わたしの初恋でした"





頭の中で響くAの声






自分の中で喜びと後悔がぐちゃぐちゃになる





好意を持たれていたことは嬉しいそれが初恋であるのならなおのこと





初恋でした






ただ過去形のその言葉に落胆してる自分が情けなくておぞましくて





散々あの子を傷つけておいて自分のことは棚に上げどうして今も想ってくれていないんだと怒りが少しでも沸いたことに絶望した






非術師を猿と呼び始めてから自分のことを善人だとは思わなかったしそれになる必要もないと思っていた







硝子にもクズだと言われるし悟にもイカれてると言われる






だけど



ここまで女々しい男だっただろうか








"ああ、東さんちのお子さん虐められてたんだよ。小中と一貫だったから酷いものでね。離れた山奥の高校に行ったってきいてるけど"



"祠にお供え物する真面目ないい子だったんだけどね。"



"虐待されてたって噂も"


"こう言っちゃ悪いけどなんかの病気だったと思うわよ。何も無い所にお辞儀したりあの子の母親が嫌うのも分かるわ"


"お姉ちゃんって不思議ちゃんアピールが凄くて私だけ特別な存在って思っててだからお父さんもお母さんも我が家に娘は一人だけだってあんなのいない方がいいし、ところでお兄さん名前は？お姉ちゃんのことより私の方が"





いなくなったAのことを忘れようとして忘れられなくて




一度彼女の故郷に行ったことがある



彼女がどう生きてどう過ごしたのか気になって





ただ真実はあまりに酷かった





幼稚園からの中学まで一貫校に通っていた彼女は幼少期に不思議ちゃんや嘘つきのレッテルを貼られ散々いじめ抜かれたらしい



それは家族という枠組みでも同じであの家に娘は一人しかいないと非術師の娘だけを可愛がる家族





醜悪な猿の姿を見せられ吐き気がした





思えば転校当初から彼女は人に怯えてた気がする



人見知りだと当時は思っていたが






誰も見えない神様



もしかしたら見えるかもしれないと希望を持って入学した場所に見えるものはいなくて




落ちこぼれのような扱いをされて




最期は私が突き放した




"すごいです、夏油くんはすごいです"



弱者は守るべきだと考えていたあのころの私を憧れの人だといったA










もう、私はAに憧れられる価値もない

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