Foever Bad Halloween【浦島坂田船】 (ページ10)

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「何、その格好」

「これ？コッチの方が使用人ぽいやろ？」

吸血鬼の男は黒を基調とした正装、それ以外はパープルにもネイビーにも見えるカラーとホワイトを基調とした正装をしていた。

「魔法？魔法でその姿になったの？魔法が使えるの？」

「俺たちは死んでからかなり時間が経ったからモンスターになった。モンスターになると契約ができるし、魔法も使える。そう言う違い」

「…分かったわ」

「頭の回転が早くて助かるわ」

先程からツラツラと紫の男しか喋っていない。赤髪と金髪に至っては声すらも聞いていない。

「名前を教えて貰えないかしら。今日から使用人として働いて貰うの。後ろのふたりは喋れないの？」

「はぁ…分かった分かった。コイツらも喋らすからそんな固くならんとって？お嬢サマ」

アメジストの瞳をした男はペラペラと話すが、他の三人は口を噤んだままであった。
だが、その場にあった椅子から三人が立ち上がり口を開く。

「俺はうらたぬき。うらたでいい。宜しく」

「俺は志麻。ま、仲良くやろや」

「俺は坂田。嘘は嫌いやから、絶対に俺は嘘吐かんよ」

「センラです。使用人なら俺が一番向いてると思いますわ。よろしくお願いします」

「A・オリヴィアよ。Aでいいわ。パ……父親はお菓子会社の社長をして、母親はファッションブランドの社長をしていた。私はそのどちらも引き継ぐわ。他は──」

オリヴィア家の当主としての役目。オリヴィア家に生まれた者としての役目。
簡単なものでは無いし、それこそ、先程のような惨状を生み出してしまうかもしれない。だが、当主になった今、私がそれをしなければいけないのだ。

「オリヴィア家は国王のルーク(・・・・・・)よ。
国王のルークは国王の戦車でなければならないの。国内外問わずに、国の力を使ってイギリスをどうにかしようとする輩は居るの。その相手とお話をして、手を出させないのが役目。
戦車だから、勿論人を殺す事もある。戦わなければいけないから。
私はそれも請け負うことにするわ。その仕事内容は了承して頂戴」

「了解」

私が手を下すこともなければ、死体を目にしてきたことも無かった。それは両親の仕事だったから。私は他の家に嫁ぎなさい。と言われていたから。けれども、私はこの家が何よりも大切であるし、誇れる仕事だと思っている。

国王から直々に命令を頂いて、他国へと出向く両親の姿は凛々しかった。
人を殺すとて、それはこちらの正義があるからだ。

だが、正義と称しても人への危害を及ぼす正義など無いはずである。