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ボロボロと涙が流れるが、慰めてくれるパパも、抱きしめてくれるママもいない。
立ち直ることができるように声を掛けてくれる四人もいない。誰も居ない。
犯人二人は死んだ。けれど、きっと犯行したのがここの二人でも、家を襲うように命令した人物は他にいるはず。絶対に。
そう考え、死者の前でみっともなく泣く訳にはいかない。涙を拭い、唇を噛み締めて死者達に向き直る。
「……死者。契約、契約よ」
「はいはい。契約、言うてもすることはちゃんとあるねんで。俺らとお前がきちんと約束できるように」
「分かってるわ。何をすればいいのか、貴方達が何をすべきか話し合いましょう」
「まず俺らからの提案や。死者は契約した人間の魂を取る。願いが叶って、条件を満たした時に人間の魂を奪ってしまう」
「いいわ。残すものは何も無いの」
「じゃあ人間、なんの内容で契約するんや?」
四人の死者のうち、一人の吸血鬼のみが話を進める。
契約、と言われ考えを巡らせる。
契約、契約、契約。
「契約内容は一つだけ?」
「一人につき一つやけど、この場合は四人おるから四つでいい」
「分かったわ。」
四つだけ。四、と指を立てて頬杖を付く。
もしここで私の家族を生き返らせて、と言っても生き返ったように思い込ませるだけでそれ以上は何も出来ないだろう。
まずは一つ、忠誠忠実を誓い、私に絶対に嘘をつかない使用人が欲しい。
そして、どんな時も私を守り抜くということがあればいい。
「一つ、私に忠実で、絶対に嘘をつかない使用人になって」
「OK。皆もそれでええんやな?」
コクリ。三人が三人とも頷く。
「二つ、どんな時でも私を守り抜いて。三つ……」
ここまで来て何も浮かばなくなる。聡明で、冷静であれと言った両親の言葉を思い出す。
これから先、何が起こるか分からない。
誰が裏切るかも分からない。
「三つ、私を裏切らないで。」
「四つ、私の命令には絶対服従でありなさい。」
「OK。契約成立や」
契約成立、と言って四人が立ち上がる。これから先、彼らがどう動くかなんて分からない。分からなくとも、冷静に対応していかなければならない。オリヴィア家の当主として。
「私の願いは一つよ。これから先、
「貪欲な契約ほど、魂が美味なる。こちらからもお願いやわ。もっと願って、貪欲になれ」
シュウ、と四人の姿が変わっていく。
姿を現したのは──
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鎖座波(プロフ) - れいさん» 嬉しいです!それあるあるですね笑笑 (2020年11月23日 0時) (レス) id: a183fb70e9 (このIDを非表示/違反報告)
鎖座波(プロフ) - ねこまる先生。さん» アッ嬉しいです(涙) (2020年11月23日 0時) (レス) id: a183fb70e9 (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - これ私評価したっけ、、、ポチッ[既に投票済みです(無効)] (・ω・) (2020年11月4日 8時) (レス) id: 6b7b145b17 (このIDを非表示/違反報告)
ねこまる先生。 - アッ好きです…(震え) (2020年11月3日 21時) (レス) id: 1f53132dc8 (このIDを非表示/違反報告)
鎖座波(プロフ) - トーストぱんさん» ぱんちゃん(;_;)ゾクゾクしてくれて何よりです!!感想ありがとう!! (2020年10月31日 13時) (レス) id: a183fb70e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鎖座波 | 作者ホームページ:Greedy girl
作成日時:2020年10月30日 4時