Foever Bad Halloween【浦島坂田船】 (ページ6)

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「ハロウィーンはあの世とこの世の境界が薄れるって聞いたこと無いワケ？」

「はあ？何が言いたいのよ。」

「つまるところ、俺らは死者だから殺しても意味ねぇよ」

「そんな口から出任せ信じる訳無いでしょう！私の両親を殺しておいてそんなふざけた言い訳で許す訳ないわ！」

確かに聞いたことはある。ハロウィーンはあの世とこの世の境界が薄くなり、一般人の仮装に紛れて本物の死者いるという事。私達が画像をするのは死者が私達を襲わないため。
そんなの所詮言い伝えに過ぎないし誰も信じるわけが無かった。

けれど、家では違う。両親はその迷信を信じていた。勿論、私も幼い頃は信じていたが、今となっては信じることなんてできない、と思いたい。それが出来ないのは黒猫のような仮装をした、エメラルドの瞳があまりにも真っ直ぐで真剣に見つめてくるから。
信じる他無かった。

「……わかった。」

「ん。ここは必要以上に食える。なんかあったら言え」

大人しく包丁を机に置き、コックの死体を視界に映さない様にする。死体があるのにお菓子を食べる光景が異常すぎふが、私の頭はそちらに構ってやれる程の冷静さは持ち合わせていない。冷静ではあるが、そこまで非情ではない。

ぼうっと死者達の姿を見ていると、廊下から足音がする。一つではなく複数であり、それが知っている足音であること。
長年共に暮らせば、足音が誰なのかぐらい分かるようになる。

「み、んな！生きてたの！？」

「お嬢様！お嬢様がご無事で何よりです…！ですが、まだ奥に犯人が残っておりますのでどうか先にお逃げ下さい！」

死んでしまったのかもしれない、と半ば諦めの気持ちがあったが、ここに来たのはミッシェル、ニーナ、ジャック、アレンの四人。誰よりも一緒にいる時間が長かった大好きな四人だった。

「嫌よ。皆が先に逃げて」

「いいえ！俺達の役目は最後までお嬢様をお守りすることです。だからどうかお逃げ下さい！」

「嫌！嫌ったら嫌！絶対に聞かないわ！私からの命令よ、皆先に逃げなさ────」

命令なんて形はとったことは無かった。けれど、この時ばかりは先に逃げて欲しかった。もう、これ以上誰一人として失いたくなかった。

それなのに。

それなのに。

それなのに！！！！！

「…ミッシェルッッッ！！！！！」

ミッシェルの首から鮮血が吹き出し、その場にドサリと倒れ込んでしまった。