Foever Bad Halloween【浦島坂田船】 (ページ5)

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「Trick or Treat？」

「……は？」

警察かと思ったが、4人の長身の男達が仮装をして立っていた。青年だろうか。皆が端正な顔立ちで、肌のツヤがあり、顔の皺も無いために若い人間であることは一目瞭然である。

だが、お菓子を貰いに来るのは小さい子供だけであるのに、こんな男達が訪ねて来る訳が無い。
第一、こんな状況でお菓子くれなきゃイタズラするぞ！なんて言われても勝手にしろとしか思えない。両親や使用人を殺されたこと以上に悲しいことなんてあるものか。

「Trick or Treat！！」

「…この屋敷は死体ばかりなの。血塗れのケーキやキャンディ、マシュマロ、クッキー…そんなお菓子ならあるわよ。」

「…」

「返事は？Yes？No？」

「…」

相手からの返事はなかった。イライラするどころか殺意すら湧いてくる。犯人へ向けた殺意が目の前の青年達へ向けられる。
こちらは家族が死んでいるのに、お菓子を強請ってくる行為に腹が立つ。

両親は国に献身的であり、正しい仕事をしていたにも関わらず呆気なく殺された。
神なんてものは存在しない。

ただ目の前の青年は私のことを能天気に、他人事のように見つめている。何を考えているかも分からないような表情で。

こんなことなら悪魔や死者と契約でもしてやりたい。

「家に上がっても？」

黒猫のような仮装をした男が口を開く。

「どうぞ。死体ばかりよ。」

喪失感とどうしようもない、やるせない気持ちやらが混ざって変な客への扱いがおざなりになる。
玄関の扉も開けたままキッチンへと通すが、死体を見ても青年達は顔色ひとつ変えなかった。

こんなにも惨い状態で殺されている現場を見ても平然としていられるのは。

犯人しかいない。

そっと背中越しでキッチンにある出刃包丁を手に取る。
青年達はお構い無しにケーキやお菓子を貪り食らい、包丁の刺さったコックの姿に目もくれない。

「貴方達が…お前達が！！私の家族を殺したんでしょう！！使用人も殺して！！！許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない！！！ここで殺してやる！！！！！」

鋭く研がれた切っ先を彼らに向けた。

。。。
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