Foever Bad Halloween【浦島坂田船】 (ページ17)

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白い陶器に薄い桃色の唇が可愛らしい。ゴールドの髪がシャラリと音を立てそうに肩から落ちる。
次の瞬間、Aは少し顔を顰めてサファイアの瞳をこちらに向けた。

「……ストロベリージャムをティースプーン一杯分ちょうだい」

「どうして？」

「欲しいの」

先程とはどこか雰囲気が違っており、感情が読み取れないような話し方では無かった。

先程までは冷静も冷静、冷徹とすらも言える程に感情を読み取れなかった冷たい表情で、声色もどこか人間らしくない声をしていた。

それが今は少し拗ねたような声を出してティーカップ一杯分のストロベリージャムを強請ってくる。

「お、可愛ええやん」

まーしぃが舌なめずりをする様にしてAを見やる。確かに、こんなに素直であれば可愛らしいものだが、まーしぃはキモい。

「ねえ、ちょうだい」

「うらたん、出してあげてもええんとちゃいます？そこまで意地悪せんでもええやろうに」

「分かってるわ、ンなこと言われずとも出すっての」

クイ、と俺の服の裾を掴むその姿に、先程までの傲岸不遜な態度は微塵も感じられなかった。今の方が数倍も可愛らしい。

「ママ(・・)がいつも作ってくれてたホットミルクなの。おねがい」

やけに幼く、年齢相応に見えた顔に分かったと告げる。
ホットミルクに向けてステッキを振り、キラキラと小さな星屑がステッキの周りで輝けば、それは薄くピンクに色付く。

再び、Aは口を近付け、コクリと喉にそれを流し込む。
ほぅ、と息を吐き、目をキラキラと輝かせる。

「……おいしい、……おいしいね、これ」

今まで全く笑わず、笑ったとしても意地の悪いような笑みしか浮かべなかったAからは想像も付かないような幼い笑顔。

「パパ(・・)にも、飲ませて…あげなきゃ…………」

するりと手からマグカップがすり落ちる前に宙に浮かせる。
Aはスゥスゥと寝息を立てて幸せそうな笑みで眠りについた。

「うらたん、薬盛った？きゃー！さいてー！」

「盛ってねぇわバカ」

明らかにその場の空気をぶち壊すようなセンラの物言いとニヤニヤとしたまーしぃの肩をそれぞれ小突いてやった。

Aが、両親のことをそう呼んだのは、後にも先にもこの時だけであった。