リアコじゃないので推しは恋愛対象外につき、潔く諦めてください【紫】

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Aside

真夏の暑い中だと、本来ならぬるいはずの水さえも少し冷たく感じる

先程落としてしまったペットボトルの蓋を学校の水道で洗いながら感じる


にしても暑いな……よくこんな中でシャトルランとかやったよな



こ「宇城ちゃん」
『へっ！？』


突然真後ろから、しかも耳元で名前を呼ばれて
反射的に距離を置こうと離れて、またキャップを落としてしまう


こ「ごめんごめん」
『い、いえ……』


濡れた手でキャップを拾う
一体何だったんだ…？


こ「やっぱりそうだよね〜」
『え？何がですか？』
こ「普通、誰か分かっても好きでもなんでもないやつから至近距離で話しかけられたりしたら離れるよねって」


いや、まぁそれが正常な行動でしょ
何言ってるんだ？


こ「なーくんのこと、好きでしょ」
『はい？』
こ「だってさぁ、なーくんがくっつくのも
突然後ろから話しかけるのも嫌がらないじゃん……いい加減認めちゃえば？」
『なっ、何をですか？』
こ「だから、なーくんのこと好きでしょ？

すとぷりとしてのなーくんじゃなくて


なーくん個人のこと……七森誠也として」


暑かったはずの体が一気に冷える
呼吸ができない
目が、口が、喉が

乾いて張り付いたような感覚がする


『そんな、そんなわけないじゃないですか…
だって、だって私は……』
こ「リスナーだから？そんな事があっていいわけないって思ってる？

そんなことないでしょ

だって、リアコって存在がいるぐらいだし


もともと好感持ってた人とずっと居て、個人として好きになるなんてあってもいいでしょ




それにね、それはリアコじゃないよ



単なる恋なんだから」


そう言って、私の横を通り過ぎっていくころんくん


濡れていた手はいつの間にか乾いている



私は、リアコじゃない



だから、なーくんのことは好きにならない









そう、決めてたはずなんだけどなぁ

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