Say☆you へぶん８【男性声優】

まもりたい 代永SIDE ページ29

．




Aちゃんが困ったとき、一番に頼ってくれるのは俺だと思う。
今回だって、一番に俺を選んで部屋に来てくれた。




頼ってくれるというのは、つまり信頼されているということ。
だけど、その理由は俺が"優しいから"とか"代永さんなら大丈夫"と思われているからで。


素直に喜べないっていうのが正直なところ。


俺の腕の中でスヤスヤと眠る警戒心の薄い彼女に、｢襲われても知らないからな｣なんて、彼女の唇を指でなぞる。



｢ぃ、かない…で｣



それは単なる寝言のような、彼女の本心。
閉じた瞳からは一粒の涙が溢れ出す。



彼女は人一倍優しい。
10年経った今も尚、お母さんの命日が近づくに連れて日に日にやつれていくのは、今でも母親が死んだのは自分のせいだって思い込んでいるから。



だからこそ俺が、俺らが、この子を支えてあげないといけないんだ。




代永｢・・・どこにも行かないよ｣


代永｢・・・・・誰もAちゃんを置いていったりなんかしない｣




やっぱり、Aちゃんの弱さに漬け込んで襲うなんて俺には出来ない。



代永｢だから安心して眠って｣



強く抱き締めて離れないように。俺以外のところには行かせないように。



代永｢…今だけはAちゃんを独り占めさせてね｣



そう呟いて俺も眠りについた。



.

甘い毒 神谷SIDE→←第4の性別でも男前

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す