⑫ダンボール戦機Ｗ～失想過～ (ページ23)

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無茶ページ23

「…ったく、無茶しやがって、人質が…」

コブラが戻ってきた二人を見るなりグリーティングルームに行くように言い、二人にホットココアを出してくれる。

「…ぅ…この状態で…何かを飲みたくはない」

「馬鹿言ってんじゃねぇよ。何時間飲まず食わずだ？宇宙酔いだってのは分からなくもないが…安心しろ、お前は空腹過ぎて戻そうにも戻すモノなんかねぇよ」

…確かに、正論だが。

それでも、ヒドイ乗り物酔いのような感覚に陥っているジンには、伝わるモノではない。

「…じゃあ、コブラ。僕、ジン君を男子部屋に寝かせたら、バン君たちを追います！」

「おっと、それは待つんだ、ユウヤ。男子部屋は…」

コブラが間髪入れずに引き留めた。

「なんでですか」

「…それがな…男子部屋に誰も入れるなって、さっきアイツにメスを突き付けられて言われてな…」

「アイツ？」

「ラキアだよ…地球を発った頃から、様子がおかしかったんだ」

「様子が…おかしい？」

「ああ…今入ったら、殺されるかも知れねぇぞ、…いや、ガチで」

「…よく分からないが…ユウヤ、僕に構うな。早くバン君たちを追うんだ」

「でも、ジン君…」

「いいから行くんだ、ユウヤ。僕も後で行く」

「…分かった」

ユウヤは小さく頷くと、ダックシャトルを飛び出し、遅れてパラダイスへ、バンたちを追った。

・

・

「…」

空腹なのは自覚していたため、吐き気が納まってから、ココアを口に含んだ。

甘い味が、やっと自分の感覚を呼び戻してくれる。

リュウンと宇宙管理センターで分かれてから…ずっと、自分の感覚がなかったようで。

リュウン…。

自然と出るため息。

引き離され、また会えたと思えば別行動。

無理矢理リュウンも連れてくるか、又は自分もあの場に留まっていれば良かった。

宇宙からでも、リュウンのＣＣＭは高性能だから、通じる。

ジンは宇宙管理センターが電波も飛ばさない密室だということも忘れ、メールを送った。

［Ｄｅａｒリュウン

　今何をしている

　Ｂｙジン］

返信が来ないことも知らずに…。