楽しませるから ページ35
ガチャ
颯「妹と母の件、ご愁傷様。大丈夫?」
『大丈夫ではないわね。一応仕事の確認で来たけど…必要あんの?』
颯「ないよー。僕がSと話したかっただけ」
『何を?』
颯「僕があの時、Sをアルカナへ誘わなければこうならなかったのかなーって思ったんだよね。それで、Sはどう思ってんだろって」
『お互い知識が足りなかった。お互い未熟者だった。あなたは親からの教育を強要されていたから人間関係を築けないあまり、相手を助ける方法を知らなかった。同時に私はまだ幼く、世間を知らない。もっと調べれば、あの時慌てる事はなかった。それだけよ』
颯「…つまり?」
『誰も悪くない。仕方のない事なのよ。これは』
颯「…Sがそう思っているなら良いや。あ、そうそう。契約はどうする?家族がいないから無効になってるけど」
『残るわ。貴方には私が居ないとでしょ。私の代わりなんて居ないだろうし』
颯「それは心強い!じゃあ今後もよろしく。後、政略結婚は今日で終わりだよ。最後ぐらい、一緒にいたら?」
『……そうね。戻るわ』
颯「早く戻ってあげてね〜」
ガチャ
蘭「今日は空けるんじゃなかったのか?」
『気が変わった。それと、今日で終わりなんだって。政略結婚』
蘭「そっか〜。夜ご飯どうする?」
『ストックしてたのがあるから、それで良い?』
蘭「良いよ♡」
カチャ…カチャカチャ…
蘭「これからどうするの?」
『アルカナに居続ける。居場所はあそこしかないし。私は更生するのは無理だろうし』
蘭「家族がいなくなって、寂しくないの?」
『寂しいは寂しいわよ。でも、こうなってしまったから、仕方ないでしょう?』
蘭「オレと一緒に来たら、寂しくないよ?」
『でしょうね。楽しそう』
蘭「来る?」
『……ええ』
蘭「じゃ、明日市役所いこっか♡」
『新しい家族……ね』
蘭「嫌?」
『こういう人生も、悪くないかなって』
蘭「そーそー。オレが楽しませてやるよ」
『期待しとくわ。………少しだけ』
蘭「少しぃ?大きく期待してよ」
『その通りに行くとは限らないもの』
蘭「オレ、約束は守るタイプ」
『…どうだか』
クイッ
蘭「楽しませるから」
『…よろしく』
246人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆるんるん | 作成日時:2022年12月14日 21時