stay for me (ページ7)

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◯Warmth ページ7

偶然逢ったジヨンさんに送ってもらうことになった。

「送る。こんな時間だから。」

って言われて…気を遣わせちゃったかなぁ。

車の中はしーんとしていて、ある意味ジヨンさんの息遣いさえ聞こえそうな気がした。

アクセルを踏んだ時のエンジン音すごいけど。笑

「いつも歩いて帰ってんの？」

ジヨンさんが口を開いたから、少しだけびっくりして。
目線を慌ててジヨンさんに向けた。

「いつもはタクシーなんですけど、今日は捕まらなくて…仕方ないからたまには歩いて帰ろうかなって思ったんです。」

「女が1人でこんな時間に歩いて帰るなんて危ないだろ？なんかあったらどうするんだよ。」

はぁ…っとため息をついて、タバコに火をつけるジヨンさん。

これだけでも絵になるなぁ。

ほんとにこの人は生まれながらの芸能人なんだ。

お肌も綺麗だし。
どこの化粧水とか使ってるんだろう？

聞いてもいいかな？

いろいろと感心しながらジヨンさんの方を見ていると、わたしの視線に気付いてぎろっと睨まれた。

「A…人の話聞いてんの？」

ちょっとイラっとしたような声色で。

無視してるわけじゃないんだよ？
全然ジヨンさんがこっちを見てくれないから。

でも信号待ちのときくらい目を見て喋ればいいのになぁ。って思って。
ちょっとはこっちを見て欲しくて。

でも、確かになにも答えなかったらイラっとするよね。笑

「ちゃんと聞いてますよ。」

「そ？俺の言ってることわかった？」

「はい、重々承知しております。今日はわざわざ送ってくださってありがとうございます。」

座りながら深々とお辞儀をして見せた。

ほんとにありがたいと思ってますよ。って意味を込めて。

「…別に。たまたま逢ったついでだったから。」

ジヨンさんにとって"ついで"だったとしても、わたしを見つけてくれたことがとても嬉しかった。

今日はほんとに外が寒くて。
でもジヨンさんの車は、すごく温かい。

なにも喋らなくても、ジヨンさんの隣はわたしにはなんだか居心地が良く感じた。
それだけで、体だけじゃなくて心も温かくなったんだよ。

ほんとだよ。

ジヨンさんも、そう思ってくれてたらいいのにな。