stay for me (ページ3)

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あ、BIG BANG。

今日のお客様はアーティストだったらしい。

ママの言ったことは正しかった。

韓国で知らない人はほんとに居ないくらい、彼らはメジャーな人たち。

音楽チャートでは1位を取って、音楽での賞を何度も受賞している。

わたしでもそんな情報知ってるんだから、芸能関係のお客様が好きな子は今日は嬉しいだろうなぁ。

「いらっしゃいませ。こんばんは。Aです。」

「うん。」

顔だけこっちに向けたG-DRAGONさん。

この人が数々の名曲を生み出す人…
スッピンだからかな…全然そんな風に見えないんだけど。笑

「隣、失礼します。」と断りを入れてG-DRAGONさんの隣の席についた。

「ブランデーでよろしいですか？」

「うん。」

主役のスンリさんと違って、この人ニコリとも笑わないな。

スンリさんが主役の打ち上げみたいだ。
向こうで上機嫌でニコニコしながらお酒呑んでるもんね。

「G- DRAGON様はお酒はお強いんですか？」

「うん。」

「ロックでよろしいですか？」

「うん。」

…この人…

今日ここに来たのは不本意でってことか…ずっとしかめっ面だしな。

ニコリとも笑わなければ「うん。」って二言を返すのに口すらも大きく開けない。

不本意とはいえ、失礼な人だな。

「G-DRAGONじゃなくて、ジヨンでいいよ。」

「え？」

ここに来ている以上はお客様だし、不本意だとしても楽しい時間を過ごして貰いたい。

そんなことを思っていたら、彼からうん以外の言葉。

「G-DRAGONって長いし…今はクォンジヨンだから。あ、俺の本名ね。」

今は？
プライベートみたいなものだからかな？

そんなことをわざわざ言うってことは、G-DRAGONに対して劣等感があるってことなんだろうか…

職業柄人を見る目は肥えている方だと思う。

相手が何を思っているかが、わからないようじゃ到底この仕事は務まらない。

接客ってそういうこと。常に相手、お客様が1番なの。

「かしこまりました。じゃあジヨン様ですね。今日はよろしくお願い致します。」

帰る頃には、楽しかった。今日ここに来て良かった。って思わせたい。

それにこんなしかめっ面なんて、わたし自身がずっと見ていたくないし。笑

この人をどうにか笑わせたいな。

ジヨンさんはどんな闇を抱えているの？

わたしには、すごく寂しくて悲しそうな目をしているようにしか見えないよ。