stay for me (ページ16)

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・× GD ページ16

仕事終えて帰ったらもう2時過ぎだ。

駐車場から出たら男と女の声。
こんなところで痴話喧嘩か？
やめてくれ。

「離して！」

あれ？A…？

「ちょっと。なにやってんの？」

って声をかけたはいいけど、これってなんかめんどくさい状況なんじゃねぇの？

Aの彼氏か？…じゃないよな。

「ジヨ…」

Aは俺の名前を呼びかけて、掴まれていない方の手で口を抑えた。
俺がG-DRAGONだってバレない為にだろう。

Aの手首を掴んでる男が『なんだよお前。』って口を開いた。睨むように俺を見る目がすこぶる気に入らない。

お前にお前呼ばわりされる覚えはねーよ。

「嫌がってんじゃん。その手離したら？
こんな時間に騒がれたら迷惑なんだけど…警察呼ぶよ？」

ポケットから携帯を取り出して、相手の男にチラつかせて見せた。

「さっさと離せよ。聞こえてんだろ？」

口が暴れて…もしかしたら殴られたりとか、すげーめんどくせーことになるかも。って思ったけれど。
言っちゃったもんは、しょうがない。
あぁもう…ほんとにめんどくさ。

『…ちっ。Aちゃん、また来るね。』

ニッコリ笑って、俺を睨んでその場を離れた。
舌打ちされる覚えなんてないんですけど。
舌打ちしたいのはこっちだっつーの。

男が去ったのを確認して、Aを見たら掴まれた手首が相当痛かったのか、それとも恐かったのか、少し震えてた。

Aの掴まれてた手首を見ると相手の手形がハッキリ残ってて…。
それだけ強く掴まれてたってことか。

「大丈夫？」

「だいじょ…えっ、」

Aが、「大丈夫です。」って言おうとしたであろう言葉を遮って、思わずAの手を引っ張って、エントランスに入ってエレベーターのボタンを押した。

「大丈夫？」って聞いたあと、0.5秒くらいの間で俺はバカだと気付いたんだ。

だって、Aは絶対に、「大丈夫です。」って言うやつだから。

Aは弱い部分を俺に見せたりしない。

俺だけじゃなくて、きっと他の誰にも見せたりなんてしないんだ。