stay for me (ページ15)

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◯Trouble ページ15

最近は仕事がとても忙しい。

前から忙しかったけど、今が冬で忘年会シーズンだから。

でもうちのお店は常連さんばかりだし、そんなに若い人って来ないから、ガヤガヤしてなくていい。

そういうところも今のお店が大好きな理由。

『A、今日何か食べて帰らない？』

「んー…今日もお酒いただきすぎちゃったから遠慮しとく。ごめんね。」

『大丈夫？早く帰って早く寝てね。おつかれさま。』

エナは優しい。

このお店で働くことになった日に一緒に入った子。いわゆる同期ってやつ。

1番仲の良い仕事仲間。

でも深く詮索はしない。

お互い一定の距離を保っていた方が、わたしには居心地いいから。きっとエナもそう思ってるはず。

今日も呑みすぎちゃったのはほんと。
だからエナに言った言葉は嘘じゃない。

あ、そういえばエナBIG BANGのファンって前に言ってたっけ。

でも彼らがお店に来ても騒がないからえらいよね。ほんとにプロ。

そういうところが好きなんだよね。

ジヨンさんと同じマンションなんて言ったらびっくりするだろうな。

エナを信用してないわけじゃないけど、ジヨンさんの為に言わない。

タクシーを降りてマンションに入ろうとすると
『Aちゃん。』って言葉と共に手首を掴まれた。

振り向くとそこに立っていたのは、
最近よくお店に来てくれるお客様で。

なんでここにお客様が居るのかと唖然とした。

家を教えたことなんて1度だってないし、送ってもらったことだって1度もない。

ちょっと待って、掴む力強くない？
手首痛いよ…

『Aちゃんてここに住んでたんだね。気になったから後着けてきたんだ。』

え、やだ。なんか恐い。
真剣に恐い。

「離して…ください。」

振りほどこうとするのに振りほどけない。

『前からAちゃんのこといいなって思ってたんだよ。付き合ってよ。』

手首を掴む力がさらに強まった。
ちょっと待って。ほんとに痛い。

「や…離して！」

「ちょっと。なにやってんの？」

聞いたことある声が耳の中に入ってきて…

振り向くと、駐車場からでてきたジヨンさんがそこに立っていた。