stay for me (ページ1)

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◯First contact ページ1

愛なんて、信じない。
そんな目に見えないものを信じたってしょうがないでしょ？

人は必ず裏切るもの。
裏切られるなら信じない方がマシでしょ？

人間は自分が1番可愛いと感じる生き物。
なにかあったときに自分より他人優先するなんて綺麗事でしょ？

ずっと、そう思って生きてきた。

あの日あなたに逢うまでは…

…

「おはようございます。」

19:08

仕事場に出勤したら、みんな揃っていそいそと準備していた。

『A遅いよー！』

「え？そうかな？いつもと同じくらいだよ？」

『今日は貸切って言ってたでしょ？いつ来るかわかんないんだから、もーAも早く準備してー！』

確か…芸能人の打ち上げかなんかで貸切だったっけ？
昨日ママがそんなこと言ってたかも。

貸切の予約が入ってるときは、前もってママに誰が来るかを聞く。

お話をするのにもその人のことを知っている方が楽しく話せるから。

ママに昨日聞いたら『韓国人なら誰もが知ってる人よ♡』だけ言われて教えてくれなかったんだっけ…

『まぁAは素材がいいから準備することなんて何もないけどね。』

仕事仲間のエナが笑って言った。

ここはクラブ。

クラブっていっても一見さんじゃ入れない会員制の高級クラブがわたしの職場。

一応ここの1番のお仕事をやらせてもらって早1年。

もちろん自分の力じゃなくて、お客様がわたしをナンバーワンにしてくれた。

それは1年経った今も変わらず…

お客様あってのわたしなのだ。

水商売なんて…って笑う人も居るかもしれない。

でも毎日政界の方や、スポーツ選手、芸能人…各界の著名人の方に刺激的な話を聞いたりすることがわたしの楽しみだし、ふとしたこで感動できたりするこの仕事に誇りを持っている。

それになによりお客様の笑顔が大好きで。

楽しく会話をして、美味しいお酒を呑んで、素敵な時間を過ごしていただけたら…それだけで満足。

もちろん客引きのためにお客様と寝たなんてことは一度もない。

それだけは譲れない。わたしのポリシー。

『みんなそろそろお出迎えの時間よ。』

ママがパンッパンッと手を叩いたら仕事開始の合図。

『A今日もよろしくね。』

「はい。」

ママの柔らかい笑顔は今日も素敵だ。

今日もお客様との時間を楽しもう。
精一杯のおもてなしをして。

ガチャッ…

扉が開く音がした。

「いらっしゃいませ。」

深々とお辞儀をして、今日のおもてなしが幕を開ける。