【ナンバカ】短編恋愛集16

腐れ縁03 -チィー- ページ5

チィー｢愛してるよA。｣


キスをするチィー
こんな人の薄っぺらい｢愛してる｣の言葉に何度も騙されただろう


チィー｢これからもずっと君が好きだよ。｣


嘘つき


チィー｢ねえAは？｣


うるさい


チィー｢Aは俺の事好き？｣


何言ってんの？


チィー｢愛してる？｣


これから別れるのに愛してるわけなんかないでしょ


チィー｢ねえ、愛してるでしょ？｣


言わせないでよ


チィー｢ねえA。｣


しつこいな


A｢嫌い…。｣


チィーなんて嫌いだ


チィー｢違うでしょ？｣

A｢嫌いだもん…。｣


大嫌いだ


チィー｢本当のこと言ってよA。ねえ、A。｣


甘い声で愛おしそうに名前を呼ぶのは卑怯だ


A｢愛…してる…。｣


最後の最後にこんなこと言わせないでよ…
チィーは私の言葉に満足したのか私の耳元で小さく息を漏らして果てた


チィー｢やっぱりさ、考え直さない？｣


私に抱きついたまま息を荒く言った


チィー｢こんなに相性いいのに勿体ないよ。｣

A｢いいわけないでしょ。｣


囚人と看守ではなかなか恋人として会う機会はなくてすれ違い
会えばケンカばかりだ


チィー｢相性いいさ。
　 だってこんなにもお互いのことわかりきってるでしょ。｣


それは行為の事を言っているのか
だとすれば間違いないのだけど
しかしそれだけでは決して無い
皮肉だけどお互いの思考なんて何気ない表情ひとつで
手に取るようにわかり扱い方なんて熟知していた


チィー｢また別れたくなったら抱くね。｣

A｢それは…ずるい…。｣

チィー｢俺らしいでしょ？｣


私達は切っても切れない縁で雁字搦めに結ばれてしまったようだ
腐れ縁

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