【ナンバカ】短編恋愛集16

腐れ縁02 -チィー- ページ4

彼は私と言う人間をわかりきっている
気性の荒さも持ち合わせているが逆に情に脆く流されやすい一面がある
弱々しく｢最後のお願い｣を言われたら一度愛した男の願いを叶えてあげたくなるものだ
しかしこんなことをしていいものなのだろうか
ふと現実に戻ると返事が出来ずにいる私を差し置いて奴は動き出していた
手早く私のネクタイを外し投げ捨てて服のボタンを外していく


A｢こら！｣

チィー｢この華奢な体、好きだったよ。｣


上着もシャツも脱がされて下着姿になった私の首から腰にかけて何度もキスを落とした
くすぐったくて声が出そうになるも必死で唇を噛み締めて耐えた
ましてや感じてしまうなんて癪に障るし
一通りキスをすると満足したのか机に私を押し倒した
彼の顔をじっと見ていると目を細めて笑った


チィー｢可愛い顔。｣


私の頬に触れながら優しく触れるだけのキスをした


チィー｢こんな可愛い子と付き合えたなんて一生分の運使い果たしたね。｣


今度は食らいつくように唇を押し当てた
隙間から舌が忍び込み乱暴に口の中を這わせる


A｢んっ！｣


息付く暇もなくチィーに｢やめて｣と言わんばかりに
体を押すがその手を握られてしまった


チィー｢えろい声…。｣


嬉しそうに呟いてはまたキスをした
かつてないほど強引でしつこくて頭がぼんやりとしてしまう
何故か付き合い始めのただただ幸せだっただけの頃を思い出してしまった


チィー｢ごめん。苦しかった？｣


やっと解放してくれた
チィーは私の目の下を優しく指でなぞった


チィー｢泣かないでよA。｣


どうやら私は泣いていたらしい
チィーのキスが苦しかったのではない
幸せな思い出が込み上げて気持ちが苦しくなったのだ


チィー｢でもその顔そそるよね。｣


私の気持ちも知らないで最後まで最低な人
悔しいのがそんな奴に私の身体を隅々まで知られていることだ
血が出そうなほど唇を噛み締めて声を抑えているが歯止めなんて効かなかった
手だけでうんざりなほど絶頂を与えられ休む暇なく
それ以上を欲する私の中にチィーのを宛てがわれた

腰を持たれて逃げる隙もなく急所を狙われて頭がおかしくなってしまいそうだ
そんな私にお構い無しで自分の欲をぶつけるチィー
なんて自分勝手な人なのだろう
この行為に愛なんてあるものか

散々私の体で楽しむと耳元で感じる彼の息遣いが荒くなって
そろそろ終わりが迫っているかようだった

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