【ナンバカ】短編恋愛集16

恋人不足02　-六力大仙- ページ15

この武闘大会のために六力との時間も自分の時間も
全てを注いできたのをわかってくれてたはずだ
主任にはしごかれ、たくさん怪我をして痛い思いをして、たくさん泣いて、
心も体もボロボロになってしまった時さえあった
全部全部わかってくれていたはずじゃない

｢がんばれ｣って言ってくれたのは嘘だったの？
｢Aならやれる｣｢絶対優勝して来い｣って言ってくれたのは…


六力｢Aのバカ野郎！｣


六力は足を止め振り返り私を抱きしめた
骨が折れそうなほど強く強く
そのくせ六力の体は震えていた
六力の感情が溢れ出て止まらない
そんな風に感じた

私…頑張らなきゃよかったのかな
大会なんて出なければよかったのかな
練習に注いだ時間は全て六力に使い、ただ2人で幸せにいられれば…


六力｢何で猿門さんに抱かれて喜んでるんだよ！｣


あれ…？


六力｢あんなにくっついて…。浮気だろ浮気！｣


思ってたのと違うぞ？


六力｢そもそもなぁ！
　 俺が真っ先にお前の優勝を祝ってやるはずだったんだ！｣


悔しそうにダンダンと片脚で地団駄を踏んでいる


六力｢何で何でこう全て上手くいかないんだぁー！ちくしょー！｣


ああ、安定の六力だ
そうだよね
六力が勝負事での嫉妬なんてありえない
私の大好きな六力は六力のままだ


A｢六力、褒めて！｣


私は六力に擦り寄った


A｢ねえ、私頑張ったんだよ？六力のために。｣

六力｢A…。｣

A｢ねえ、褒めて！｣

六力｢…可愛いなまったくもー！｣


六力は頬を寄せ頭を撫でてくれた


六力｢そうだよな！Aがんばったもんな！偉かったぞ！｣


やっと六力に褒めて貰えた
まるで愛犬を愛でるかのように問答無用で撫でられるなんて幸せ


六力｢でも俺はAなら絶対優勝出来るって信じてた！｣

A｢ありがとう六力！全部六力のおかげ！｣


本当に六力のおかげだよ
六力がそばにいてくれたから、私を愛してくれたからなんだよ

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