【ナンバカ】短編恋愛集09

熟れた果実03　-ロック- ページ34

ロック「どうしたんだよ…。
　 お前…いつもと違う…。」


そりゃそうだ
女なんていろんな顔を持つ
いろんなものに化けるものだ


A「嫌だった？」

ロック「嫌じゃねえけど…。」


ならいいよね
私はまた指でクリームをすくい自分の唇にくっつけた


A「ほら、食べなよ。」


ロックは無言のまま私に顔を近づけてクリームのついた唇を遠慮気味にペロリと舐めた


ロック「どう言うつもりだよ…。」


少しだけ不機嫌そうだけどその顔は真っ赤で


A「ロックに美味しく食べてもらおうと思って。」


さて次はどこにしようかな
ケーキに手を伸ばすとロックにその手を掴まれてしまった


ロック「やめろよ…。」

A「何で？」

ロック「だって…。」

A「せっかくロックのために買ってきたのに。」


ロックの手の力が緩んだ隙にショートケーキのイチゴを掴んだ
少し歯を立てると溢れた果汁が周りについたクリームと混ざって


A「美味しい。」


かじったイチゴを見せつけた
ねえロック、いらないの？
見るからに美味しそうなイチゴの味、知りたくない？


ロック「A…。」


ロックは私を机に乱暴に押し倒して体に股がった
そして強引にキスをした
口の中を舌で荒らされてまだ残っていたイチゴはロックに取られてしまった
それからもイチゴの味がしなくなるまでロックの舌は私の口の中で動き回っていた


ロック「Aの馬鹿野郎…。」


私の手からかじりかけのイチゴを取りそれも口の中へ入れた


ロック「俺の気も知らないで…。」


咀嚼したイチゴを飲み込むと恨めしそうに私を見た


ロック「さっきも言っただろ…。
　 「すげえ好きだから大事にしたい」って…。
　 なのに何でこんな…。」

A「十分大事にされたからもういいの。」

ロック「何で…。」

A「むしろ壊して欲しい。」


ロックは目を丸くして絶句していた
でも私だって引き下がれない


A「我慢しなくていいよ。おいで。」


こんな体勢だ
もう準備は整っている
私は両手を広げてロックを迎えようとした
しかしロックは目を逸らして俯いてしまった

しょうがないなぁ
見た目と正反対で奥手でヘタレなロックのために強硬手段に出るよ
私はケーキに手を伸ばしたクリームをすくうと自分の胸元に伸ばした


ロック「おい！」


指についたクリームを見せつけるように舐めた


A「食べ頃なんだけど。」

ロック「もう…どうなっても知らねえからな！」


召し上がれ

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