扉のむこう02 -ジューゴ- ページ2
呆気に取られている間に次々と鍵を開けて行き
ついに最後のドアへと差し掛かってしまった
ジューゴ「ここを開ければお前は自由だ。」
ジューゴは鍵に手をかざした
A「待って…。」
ここに来てようやく私の理性が働く
ジューゴの伸ばした手を握った
A「こんなの…ダメだよ…。」
ジューゴはその手を握り返した
華奢でひんやりとした手
骨張っていて強く握れば折れてしまいそうだ
ジューゴ「何でだ？」
A「だって…。」
ジューゴ「お前はここから逃げ出したいんだろ？」
そう
私はここから逃げ出したい
だけど…
ジューゴ「それなら逃げればいいだろ。」
そうだけど…
A「出来ないよ…。」
私はその場でへたりこんでしまった
「逃げたい」と言っていたくせにいざ逃げようとしたらそんな勇気もない
自分で自分が情けなかった
涙が零れて止まらない
ジューゴ「お前が望むなら俺も一緒に行く…。」
ジューゴは私の前にしゃがんで私の顔をのぞき込んだ
A「それはダメ…。」
ただでさえここから逃げることの出来ないヘタレが
囚人と逃げ出すなんて私には荷が重すぎる
ジューゴ「そうか…。」
ジューゴはうつむいた
私もつられるようにうつむいてしまう
膝にポタポタと涙が落ちてズボンを濡らす
ジューゴ「顔…上げろよ。」
言われるまま顔を上げるとジューゴが指で涙を拭ってくれた
年齢は不確かだが私より子供だと言うのにすごく大人びて見えた
ジューゴ「泣くな…。」
少し困惑気味に呟いた
だけど私の涙は止まりそうにない
ジューゴ「泣くなってば…。」
言われれば言われるほど溢れてくる
ジューゴ「頼む…泣かないでくれ…。」
ジューゴは私の頭を抱き抱えた
頬に当たるジューゴの温度が温かくて優しかった
ジューゴ「お前が泣いてると…うまく説明できねえけど…
胸が熱くなって苦しいんだ…。」
A「ごめん…。」
ジューゴ「いいんだ…。お前のせいじゃない…。」
ジューゴは優しい子だ
だから私に感情移入して一緒に苦しんでくれるんだ
しばらくジューゴの胸を借りて静かに泣いていると
私の頭を軽く撫でてから体を離した
そして立ち上がって鍵に手をかざしてドアを開けた
重い音を立てて開いた扉のその先は少し明るくなった空と凪いでいる海が広がっていた
頬に当たる潮風が心地よい
扉のむこう03 -ジューゴ-→←扉のむこう01 -ジューゴ-
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溺愛アリス(プロフ) - 楓さん» 喜んでいただけて良かったです！他の方からもリクエストを受けていてそちらが10の方で大分お待ちいただくようになるかと思いますが更新します。そちらの方もよろしくお願いします！ (2019年2月2日 13時) (
レス) id: 7c1307ef69 (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 一条兎万兎来たー！この日を待ちわびていました！ありがとうございます！やったー！ (2019年2月2日 8時) (レス) id: af0f7febd7 (このIDを非表示/違反報告)
博麗霊夢 - いえいえ、大丈夫ですよ頑張ってください (2019年1月26日 16時) (レス) id: 9cf44a6a4f (このIDを非表示/違反報告)
溺愛アリス(プロフ) - 博麗霊夢さん» お久しぶりです。いつもありがとうございます！リクエスト承ります！が、ご存知の通りリクエストがたんまり溜まっていて大変お待たせしてしまいます。申し訳ないですがよろしくお願いします。 (2019年1月24日 21時) (レス) id: 7c1307ef69 (このIDを非表示/違反報告)
博麗霊夢 - 溺愛アリスさんお久しぶりです。リクで、一角の話をお願いします。 (2019年1月23日 23時) (レス) id: 9cf44a6a4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：溺愛アリス | 作成日時：2018年8月8日 18時
