白紙の年月04 -武蔵- ページ4
私は息を呑むと重い足取りで歩き出した
何故こんなにも体が震えているのだろうか
緊張して呼吸さえままならない
コツコツと自分の足音だけが響く
まるでお化け屋敷の中にでもいるかのような感覚だ
「おや、見慣れないお客さんだね。」
暗くて見えない奥の方から声がした
「もしかして新人の看守さんですか？」
少しずつ見えて来た
男がこちらに背を向けて座っている
さゆり「武蔵さん…？」
先程聞いた男の名前を呼んでみた
すると牢の中の男はゆっくりと振り返った
驚きのあまり手に持っていた本を床に落としてしまった
武蔵「さゆりか。久しぶり。」
黒い布で目を覆われた男その人こそ私が何年も何年も探し続けていた彼だった
私はその場で崩れ落ちた
涙が溢れて止まらない
子供のように声を上げて泣いた
何度も彼の名前を呼んだ
武蔵「その名前で呼ばれるの逆に新鮮だな。」
ここでは「武蔵」と呼ばれそれに慣れてしまったのだろう
彼は隙間から手を伸ばして私の頭を撫でた
武蔵「もっとこっちに来なよ。
ハグぐらいさせて。」
涙を拭いて隙間から両手を伸ばした
彼も柵の隙間から手を伸ばして私を抱きしめた
温かい
あの時と同じ変わらない優しい温度
武蔵「絶対に俺を探し出してくれるって信じてたよ。」
私が彼を信じていたように彼も私を信じてくれていた
武蔵「で、何をやらかしてここまで来たの？」
さゆり「わかってるくせに…。」
武蔵「ごめんごめん。刑務官になったんだね。」
背中をぽんぽんと叩いてくれた
さゆり「遅くなっちゃってごめんね…。」
当時の彼と比べ物にならないくらい変わってしまった筋肉質な体型と体の墨
傷跡、そして見えなくなってしまったであろう目が月日の流れを感じさせた
同時に彼の生き抜いてきた日々の過酷さを物語っていた
私は何故か無意識に背中に刻まれたタトゥーを指でなぞっていた
武蔵「かっこいいでしょ？このタトゥー。」
さゆり「もう！不良になっちゃって！」
墨が入った背中をバシバシと叩いてやった
武蔵「痛い痛い！
さゆりは変わらないなぁ。
俺の大好きなさゆりのままだ。」
力強く抱きしめられた
武蔵「待ってたよ…。」
心無しか彼の体は震えていた
私と再会したことで過去の出来事が鮮明に思い出されたに違いない
そんな彼の背中を手でさすって
さゆり「私が必ず助けてあげるから…。」
だからもう大丈夫
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溺愛アリス(プロフ) - 乃絵琉さん» ありがとうございます！他の方からも続編のリクエストを頂いていてお時間頂きますが更新予定です。しばらくお待ちくださいね！ (2019年1月2日 10時) (
レス) id: 7c1307ef69 (このIDを非表示/違反報告)
乃絵琉(プロフ) - 命の賭け事、是非続きが見たいです (2019年1月2日 4時) (レス) id: 4feb3eead2 (このIDを非表示/違反報告)
マリぽん - お忙しいところすみません。いつでもいいのでよろしくお願いします!!後出来れば武蔵くんとのお話続編もよろしくお願いします。楽しみに待ってます!! (2018年10月25日 23時) (レス) id: f1fc3b7b47 (このIDを非表示/違反報告)
マリぽん - お久しぶりです！こんばんは！リクエストよろしいでしょうか？冥くんとのお話を書いて頂きたいです！みんなの前だと喧嘩ばっかりしているのに二人っきりになるとラブラブになる感じで...世にいうバカップルを書いていただきたいです！よろしくお願いします!! (2018年10月25日 23時) (レス) id: f1fc3b7b47 (このIDを非表示/違反報告)
溺愛アリス(プロフ) - 夢ゆめさん» 季節外れなネタですいませんが無事出来ました。またお願いします。 (2018年8月26日 22時) (レス) id: 7c1307ef69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：溺愛アリス | 作成日時：2018年6月20日 16時
