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見つけたのも、病院へ連れて来たのも、
安らかに眠らせてあげることを躊躇ったのも、
わたしだ。


『あの... うちで... 』


「ペットOKなの?あんたん家。」

『 ... 』



どんなに考えても、ペット不可のわたしの家で、家族のいないわたしひとりで、

飼えるわけがなかった。



「いいよ。ウチで。
そん代わり、手伝って。な?」



先生が栄養剤の点滴や手入れをしてくれることになって、その間に必要なものを買いに行った。




「上がって。」

『お邪魔 します。』



" 荷物で手が塞がるから、猫は任せた。"

そう言われてユンさんの後をついて来て、言われるままにおうちへ上がらせてもらった。


「寝床できるまで抱いててやって。」


荷物を下ろしたユンさんは手際よく仔猫の寝床を
作ってくれて


「ん。」

『 ... 』


それなのに、
この子はもう長くはないのだと知ってしまったら、少しでも抱いていてあげたくて。



仔猫を離さないわたしに呆れてしまったんだろうか?

ユンさんは何も言わずリビングからいなくなってしまった。





「なあ、先食って代わって。味は知らん。」


しばらくして、目の前に出されたチャーハン。


『おいしい... 。』


「そんくらい誰でもできんだろ?」



なんて謙遜しておいて、でも歯茎を出して笑うその表情は、褒められて得意になった子供みたいだった。


『その子は、母猫と逸れてしまったんでしょう
か? それとも捨てられたんでしょうか?』


「さあ。どうだろうな。」



わたしの心を読んだように、食べている間ずっとユンさんは仔猫を抱いてくれていた。




ねえ、いつからひとりぼっちでいたの?


あなたもわたしもおんなじだね。




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sayu_(プロフ) - 22.2.22 次のページへの送りボタンの表示がおかしくなっていため修正させていただきました。 (2022年2月22日 18時) (レス) @page1 id: 70f7b238b7 (このIDを非表示/違反報告)
sayu_(プロフ) - 読んでくれた方。お気に入り、評価してくれた方。ありがとうございます! (2021年4月17日 5時) (レス) id: 70f7b238b7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:sayu_ | 作成日時:2021年4月16日 21時

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