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「ジョングク。気をつけてね。
きちんとしたもの食べるのよ。」
やっと、だ。
まだ、たかが十数年の人生だけど。
あの日から、
一日が、一週間が、一ヶ月が、一年が
死ぬほど長く感じた。
早く、この家から、この街から出たかった。
母さんは、俺たちが大事だっただけ。
大事なものを守るために、必死だっただけ。
そう自分に言い聞かせようとしても、駄目だった。
「母さんも身体、気をつけて。」
そう答えるのが精一杯だった。
心の中では、悲しそうに、寂しそうに笑う母さんに " そんな顔するなよ "って思ってた。
「ヒョン... 」
「ジョングク、いってらっしゃい。」
ヒョンもまた、母さんと同じように笑う。
ヒョンは、ここに居るんだね。
俺は、ここには居られない。
ここにあった大事なものは無くなったから。
幸せだった時間を懐かしんで、失くしたんだって嘆いて、もう戻らないんだと諦めて。
そんな風に、物分かりのいいフリして生きてけるほど人間良くできてないんだ。
俺はもうあの頃の、何もできない子供のままでいるつもりはないから。
「ヒョン、行ってくるよ。」
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sayu_(プロフ) - 22.2.22 次のページへの送りボタンの表示がおかしくなっていため修正させていただきました。 (2022年2月22日 18時) (レス) @page1 id: 70f7b238b7 (このIDを非表示/違反報告)
sayu_(プロフ) - 読んでくれた方。お気に入り、評価してくれた方。ありがとうございます! (2021年4月17日 5時) (レス) id: 70f7b238b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:sayu_ | 作成日時:2021年4月16日 21時