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「ほんとに、会いたかった。」
『ジョン グク... どうして、ここ に?』
バスが来て、ジョングクに強引に押し込まれるように乗せられた。
何が何だか分からなくて...
だけど、掴まれた腕から伝わる確かな熱と圧迫感で " 本物のジョングクなんだ... " とやっと理解できた。
「ヌナ遅くなって、ごめんね。
ずっと、ずっと探してたんだよ。」
探してた?
「カフェに行ったんだ。けどいなくて...
俺こっちのね、大学に入ったんだ。
バイトだってしてお金もちゃんと稼いでる。」
こっちの大学?
ジョングクの話しが全然呑み込めない。
『おば さん、はどう? 変わりない?』
「うん... 。
そんなことより、ヌナはっ?
さっきの奴、誰?
怖い思いしてるんじゃないっ?」
おばさんは、ジョングクがこっちへ来ることを許したの?
『そ、そんな言い方しちゃ、だめだよ。
あの人はいい人だよ。
たくさん助けてもらったの。』
この街に、わたしが居ると知っていて?
「そんなの、わかんないでしょ?
見せかけてるだけかもよ?
ヌナは人を疑うことを知らないから。」
『... っ、ジョングクっ...
ヌナはちゃんと働いてるし、ご飯も食べてる
し、もう3年だもん。ここにも慣れたよ。
心配しなくて大丈夫だから。』
ただ困惑したわたしは、こんなことしか言えなくて。
「大丈夫? どうして...? 意味わかんないよ。
俺は、俺はっ!
ヌナがいなくなって... 苦しかったのに... 」
ダメだ。
『もうこんな時間だよ?
明日も大学あるんでしょ? 帰らないと。』
「はっ、ははっ。酷いね ヌナ。
突然消えて... 俺がどんな思いでいたか... 」
ああ、やっぱり。
わたしはそんな顔をさせてしまうんだ。
「今日は、帰るよ...
家どころか連絡先も教えてくれそうにないし。
またカフェに行く... 。」
『ジョングク。もう... 来ちゃだめだよ。
わたしとはもう会わない方がいい。
ジョングクは大学しっかり頑張ってね。』
「 ... また行くから。」
そう言って、ジョングクは次の停留所に着くと
バスを降りていった。
もう、会いに来ちゃだめだよ。
わたしは、あなたの大切なものを
壊すんだから。
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sayu_(プロフ) - 22.2.22 次のページへの送りボタンの表示がおかしくなっていため修正させていただきました。 (2022年2月22日 18時) (レス) @page1 id: 70f7b238b7 (このIDを非表示/違反報告)
sayu_(プロフ) - 読んでくれた方。お気に入り、評価してくれた方。ありがとうございます! (2021年4月17日 5時) (レス) id: 70f7b238b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:sayu_ | 作成日時:2021年4月16日 21時