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ユンギさんはわたしの心配や不安を、いつもなんでもないことのように拭い去った。
「あと、さ... お前、越して来ねえか?
コイツもお前がいた方がいいだろうし...
マジで飯とか掃除とか助かんだよ... 」
仔猫が快方に向かっている事で、これ以上面倒を掛けてはいけないと思ってた。
「お前、あんま寝てねぇだろ?クマ出来てんぞ。」
ああ、きっとひどい顔をしているんだろう。
心配をかけてばかりの自分が嫌になった。
『本当に大丈夫ですよ。』
少し遅くなるといつも、何度大丈夫ですと言ってもバス停までついて来てくれるユンギさん。
この人には結局甘えることになってしまう。
それにしても、越してこないかだなんて...
全てを置いてあの街を出た。
この街でただ凌ぐように生きてきたわたしにとって、ユンギさんのそばは安心できる場所になってしまった。
それを怖がってる自分がいた。
また、失う" 場所 " ができることが怖いと。
それならいっそ今のうちに、ユンギさんに出会う前の生活に戻ろう。そう思った。
『ありがとうございました。』
「あー、うん。 じゃあな。」
『ここまで送ってくれたことだけじゃなくて...
その子を助けてくれたことも、わたしを気に
掛けてくれたことも、全部、本当に感謝して
います。』
「大袈裟に言うんじゃねぇよ。
なんか、最後 みたいな言いぐさだな... 」
やっぱり何も答えられないでいると、見計らったようなタイミングでバスが来て、
「名前、考えとけよ。」
返事することもせず、
ただお辞儀だけをして、バスに乗った。
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sayu_(プロフ) - 22.2.22 次のページへの送りボタンの表示がおかしくなっていため修正させていただきました。 (2022年2月22日 18時) (レス) @page1 id: 70f7b238b7 (このIDを非表示/違反報告)
sayu_(プロフ) - 読んでくれた方。お気に入り、評価してくれた方。ありがとうございます! (2021年4月17日 5時) (レス) id: 70f7b238b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:sayu_ | 作成日時:2021年4月16日 21時