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「 ... 」
ぐっすり寝てやがる。
女が俺の服を着て、俺の部屋で。
女は苦手だ。
最初は笑顔で近づいてきて、最後には喚き散らす。
でも、コイツはなんかが違った。
" 笑わない。 泣かない。"
そんな能面なのに、中身は大事なもので溢れてた。
気になった。 見てたくなった。
目に入るんじゃなくて... 目が追ってた。
知らない間にハマってた。
『あっ... すいません... 。』
俺の視線に殺気でも感じたように、起きやがって。
「仕事、行かなくていいのか?」
「俺、今日は家居るから。コイツは大丈夫だ。」
その言葉に安心したのか頷いて、
『あの、夜、また来てもいいですか?』
そんなことゆうもんだから、
「ああ。ソイツが待ってるだろうからな。」
ソイツがなんて、猫のせいにした。
そそくさ洗面所へ向かうのは、勝手に上がってくる口角がバレないように。
「ははっ。不安か?」
『いえ。』
猫に作ってやった寝床が頼りないと思ったのかと聞いてみれば、暑いでしょうか?なんて、カイロ
を持って悩んでて。
「端の方に置いてやれば?暑かったら避けるんじ
ゃね?」
「んで、あんたこそこっち着てけよ。
まだ朝晩冷えるだろ。」
いつか、客に差し出してた上着。
あれが返ってこないから、薄着だったんだ。
悩んだ挙句、申し訳なさそうに厚手の上着を受け取って
『行ってくるね。』
俺じゃなくて、猫にそう言って
俺にはペコって頭を下げて出て行った。
「待ってような。」
... 一緒にさ。
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sayu_(プロフ) - 22.2.22 次のページへの送りボタンの表示がおかしくなっていため修正させていただきました。 (2022年2月22日 18時) (レス) @page1 id: 70f7b238b7 (このIDを非表示/違反報告)
sayu_(プロフ) - 読んでくれた方。お気に入り、評価してくれた方。ありがとうございます! (2021年4月17日 5時) (レス) id: 70f7b238b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:sayu_ | 作成日時:2021年4月16日 21時