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すぐさまその声の方向へ目をやった。
床に蹲る人と、ああ...
吐いちまったんだな...それが広がってて、周りの人間は誰も近寄ろうとしなかった。
『苦しいですか？ 立てそうですか？』
その人に寄り添ったのは、今さっき目の前に居たはずの店員で。
アンドロイドのようなアイツだった。
その人にタオルを差し出し支えて、どこかへ案内して｡
周りが眉を潜める中、戻ってきたソイツは表情ひとつ変えずさっさと床を拭ってた。
「あの... 」
『どうぞ。いつでも良いので。
お店に返しに来ていただければ。』
オドオドと戻ってきた人に、ダウンコートを差し出してた。
「あ、ありがとうございますっ...
必ずお礼をしに来ますから。」
ふーん。
時間潰しにフラっと入った映画館で見た話が、
当たりだったような。
得したような？
うまいこと言えないけど、そんな気分になった｡
それからも、何度もソイツは目に入った。
バスに乗ろうとしてるソイツは真冬だっていうのに薄着で、" 寒そーだ｡ " と思ったり。
ある日は、真っ黒になった手を振ってて。
その先には自転車に乗ったチビが満面の笑みで手を振ってて。
おそらく、外れたチェーンでも直してやったのか｡
スタジオ前で一服してると、
バス停にソイツが見えて。降りてきた婆さんをじっと見つめて、その間にバスは出てっちゃうし。
急に走りだすからなんだって目で追うと、歩道橋を登ろうとしてる婆さんがいた。
「ふはっ。どんだけお人好しなんだよ。」
アンドロイドみたいなソイツは、ここに存在する誰よりも" 人間 "だった。
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sayu_(プロフ) - 22.2.22 次のページへの送りボタンの表示がおかしくなっていため修正させていただきました。 (2022年2月22日 18時) (
レス) @page1 id: 70f7b238b7 (このIDを非表示/違反報告)
sayu_(プロフ) - 読んでくれた方。お気に入り、評価してくれた方。ありがとうございます！ (2021年4月17日 5時) (レス) id: 70f7b238b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sayu_ | 作成日時：2021年4月16日 21時
