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『ジョン グク、なに 言ってるの？』
「俺とヒョンとヌナみたいに、あの人達と
ヌナのおばさんは幼なじみだったんだって。」
ジョングクの瞳から温度が消えていく。
その冷たい目に、淡々と語られる言葉に、
息が止まりそうだ。
「あの人、おばさんが居たら自分は幸せになれ
ないって言ったんだよ。
おばさんも優しい人だったんだね。
あの人の身体を気に掛けて、街を出て。
それだけでも酷いのに、あんなに可愛がってた
ヌナまで。」
お母さん が？
私と同じように...
おばさんに言われたから...？
「ヌナが持ってた写真で、おばさんの娘だって
わかったから。途端にヌナを切り捨てた。」
そんな...
「ね？ だからあの人達のこと許さなくていいよ｡
ヌナが気にかける必要なんて、これっぽっち
もないから。」
今まで感じたことのない感情が襲う。
酷く気分が悪くて、目眩がする。
「ヌナっ、大丈夫？」
『いやっ！』
一瞬、ジョングクとおばさんの顔が重なって見えて、咄嗟に手を払ってしまった。
これは、怖いからなのか... それとも何かもっと別の感情なのか。
『ご、ごめん。
ジョングク、今日はもう帰って... おねがい 』
それ以上、ジョングクの顔を見ることができなかった。
．
『お母さん... わたしたち...
何も悪いことしてないのに、どうして？
お母さんも、ひとりぼっち だったの？』
写真に話しかけても何も返ってこないのに...
何かが崩れ落ちるように、なんで、どうしてって
虚しくて、やるせなくて...
絵に描いたような幸せそうな家族。
あの家族が、誰かを犠牲にして作られたものだなんて思いもしなかった。
憧れて、羨んだ。
わたしもそこに入りたいと。
だからこそ、壊さないようにとあの街を去った。
『 ばかみたい... 』
信じていたものは、
すべて、わたしの羨望が産んだ
" 幻想 "だった。
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作者名：sayu_ | 作成日時：2021年10月12日 3時
