depletion_【第二章】 (ページ4)

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『あなたに出会えてよかったです｡』

たった今、俺の目の前で

リラが笑った。

さっきリラを見つけたとき、不思議と心ん中は穏やかだった。

置き手紙ひとつで姿を消したリラに、正直腹がたっていた｡

もう会えないって思うと、やるせなくて...
怒りで紛らわそうとしていたんだと思う。

残念ながらって言っていいのか、笑った顔を見たのは今日が初めてじゃない｡

リラがここを辞めて、俺の家に最後に来てから
そんなに経ってはいなかった｡

運転中、目に入った｡

いつかバス停でリラを連れてった奴だった。

そいつにリラは笑いかけてた。

" よかったな... "

全部、どうでもよくなった。

決して悪い意味じゃなく、

リラが笑っていられるなら。

相手が俺じゃなくても。

そんなふうに幸せそうに笑っててくれるのなら。

どうせ、俺がさっき言った " 好き " も
人としてって意味にとったんだろう。

言っとくけど、今までの誰とも比にならないくらいお前に惚れてたんだぞ？

ガキみたいにはしゃいで、

心臓は馬鹿みたいに締め付けられて。

まあ、言いやしないんだけどさ。

できることなら、
俺が、幸せにしてやりたかった。

だから、

「ふっ、感謝しろよ。」

お前の中の" いい人枠 "とかでいいからさ、

こんな奴がいたって、覚えててくれな。

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