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「ヌナ... 久しぶり。」
ユンギさんの家を出て、何件も来ていたジョングクからのメッセージにやっと返事をした。
避けるような真似をしたことを謝って、お詫びにもならないだろうけれどジョングクの好きなものをなんでも作りますと伝えた。
すぐに " とにかく今すぐに会いたい " と返って来た。
家の前に待っていたジョングクは今にも泣いてしまいそうで、それでも必死に笑顔を作って微笑んだ。
「ヌナ、ごめんね。
ヌナを守るなんて言っときながら...
俺の言葉で傷ついたよね。」
わたしなんかよりも、ジョングクのほうが傷ついているようだった。
『確かに、ショックだった。
動揺したし、整理する時間が必要だった。
でもね、知らないほうが良かったとも思わない
よ。』
ジョングクがわざとわたしを傷つけるわけがなかった。
もっとわたしに余裕があれば...
あの日にちゃんと話しを聞いてあげるべきだったのに。
『ジョングク、何かあったんでしょ？』
瞳を揺らしたジョングクは、
「うん... ヒョンからね電話があったんだ。 」
観念したようにすべてを話してくれた。
おばさんが倒れたそうだと。
その連絡をしてきたテヒョンに、嘘だと決めつけいつまでおばさんの言いなりになるんだと責めたこと。
それなのに、スマホが震えるたびにおばさんに何かあったんじゃないかと動揺している自分が許せなかったと。
「ジョングクのお母さんなんだよ？
心配して当たり前じゃない。」
おばさんとわたしのことで、葛藤があったのだろう。
だけどジョングクの想いは当然のことで、良心を咎めることなんて何ひとつないのに。
「でもっ... 」
おばさんのことを許せるとは言えない。
だけど、それでも、
『たとえばね... もし、
お母さんが街を出ていなかったら。
お父さんとお母さんが出会えてなかったら。
おばさんとおじさんが結婚していなかったら。
わたしは、生まれていなかったし。
ジョングクとテヒョンにも出会えなかった。』
わたしのためにジョングクが病気のおばさんの元に行かないなんて、そんなことあってはいけない｡
『ジョングク。帰ろう。
あの街に。』
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作者名：sayu_ | 作成日時：2021年10月12日 3時
