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この人と居れば、もう苦しくない?



わたしがこうなったのは、
幸せを知ってしまったからなのに。



失うものがなければ、悲しい思いもしなくて済んだはず。


『ユンギさん、わたし...

大切なひとがいなくなるのも、
ひとりぼっちになるのも... もう... 』


大丈夫だった。

ひとりになっても生きていけた。



なのに、

またジョングクと過ごしてしまったから、

そして、この人の優しさに触れてしまったから。


今のわたしは、小さな子供のようにビクビクと怯えている。


「お前は本当に独りなのか?

独りが嫌なら誰かの手を取れ。
失くさないようにもっと足掻け。

お前は(はな)から諦めてんだよ。

だから独りなんだ。
もう、逃げんな。」

『諦め...?』


そうか、

わたしは諦めたんだ。



誰かの為になるんだとか、そうしなくちゃとか。

諦めたことをごまかして、自分自身を言いくるめていただけだった。



「俺もお前もまだ人生の半分も生きてないんだ。

この先、ずっと独りで生きてくなんてそんなバ
カみたいな話ねえよ。」


きっと、諦めなければ失わずにいられた。


なら、

手を伸ばそう。


もう二度と、大切な人を失わないように。

必死になって踠いてみよう。



『わたし... 足掻いてみます。

だからっ、見ていてくれますか?』


「おう。」


伸ばした手をこんなにも力強く、掴んでくれる人がいる。


『ユンギさん、
わたし行かなくちゃ。』


「行ってこい。
俺とボラがここに居ること、忘れんなよ。」




それを、忘れないでいよう。





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作者名:sayu_ | 作成日時:2021年10月12日 3時

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