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「お母さんもう休むわ。
テヒョンも今日は早く帰りなさい。」
無機質な病室。
青白い顔で笑う、母さん。
先生は、手術が必要だと言った。
入院して安静にしていれば体力も回復して、そうすれば手術もそう難しいものではないと聞いていた。
なのに、日に日に窶れていく。
そんな母さんを見ながら、父さんも僕ももう限界に近付いていたんだろう。
「ジョングク... どうして帰って来ないんだ... 」
母さんの前では気丈に振る舞っていた父さんが
ぽつりと溢した。
ジョングクに一方的に電話を切られたあの日から、もう掛けることもできなくなってしまった。
着信拒否されているんじゃないか...
何か決定的な言葉を言われるんじゃないかって。
もうリラを見つけたのかもしれない。
今頃、一緒に居るのかも。
もしそうなら...
ジョングクはもう覚悟を決めたのかもしれない。
最悪のことばかりが頭に浮かんで、
結局僕は何もできないでいた。
そうやって、無情に時だけが過ぎて行った。
「も しもし?」
ぼーっとした頭で、誰かも確かめずに電話に出た。
時計を見ると、夜中の2時を回ったところで...
相手は何も話さない、間違え電話かなと画面を確認しようとすると、
≪...ヒョン、俺だけど。...あの、人は?≫
聞こえてきた声に、一気に目が覚めた。
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作者名:sayu_ | 作成日時:2021年10月12日 3時