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ジョングクと再開して、もう二か月が経った。
そっと暖めてくれた太陽は、
厚い雲で覆われて、
雨が絶え間なく降り続いている。
≪なんかさ、クォンさんにお礼だってお客様から
預かったんだけど、取りに来られるかな?≫
『お礼、ですか?』
前に働いていたカフェの店長からの電話だった。
『では、もう少ししたら伺います。』
全く心当たりはなかったけれど、とりあえず確認のためにとカフェへ向かった。
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「間違いないみたいだね?
お客さん少ないしゆっくり飲んでって。」
店長から手渡されたのは、いつか体調を崩されたお客様に渡したダウンコートだった。
『あ、ありがとうございます。』
店長が淹れてくれたコーヒーを受け取り、促されるまま店内の席に着く。
一人のお客様さんばかりだからか店内は静かで、落ち着いたBGMと雨音がなんだかとても雰囲気のある空間を作り出していた。
客席に座ったのは初めてだったからどう過ごすものなのか分からなくて、ただ窓の外で地面に跳ねる雨粒を眺めながらコーヒーを啜った。
「それ、やっと返ってきたんだな。」
頭の上から降ってきた声は、
もう会うことはないと思っていた人で。
『ユンギ さん。』
どうしてだろう。
そう、きっと... 罪悪感... だろう。
ユンギさんの笑顔に、
胸がギュッと苦しくなったのは。
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作者名:sayu_ | 作成日時:2021年10月12日 3時