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流星くんが広げたお弁当は色とりどりで非常に美味しそうであった。気付いたら、「流星くんが作ったの?」とか聞いていて。

「妹」
「そうなんだ……」

もしかしてあの、ポメルンショーをドタキャンした妹さんか……。優しいところもあるのね、なんて勝手に分析。

「Aさんさ」
「うん」
「何かお願いごととかない?」

お願いごと?
( ──お願いごと。)

その後も何回か脳でその言葉を反芻するも、脈絡の無い言葉は理解が出来なかった。

「どうして?」
「いや…俺に出来ることならしたいなって」

何故そんなサービス精神を私に振るうんだ、などと思いつつ。謙遜しても彼はそれでも、と迫ってきそうなので言ってみることにした。

「…私も、かわいいになってみたい」

いざ口に出してみるとあまりにも恥ずかしくて、熱くなっていく顔を扇いだ。ずっと、じっと、私を見つめる流星くんは無言で、何かもう少し言ったらいいのかと頭を動かそうとする。

自分が憧れるかわいいに私もなってみたいなんて、やはり烏滸がましいのだろうか。

「Aさんは」

迷っていた心を受け止めてくれるのは、いつだって流星くん。なのだろうか。

「今もかわいいよ」

彼の突発的な爆弾発言にぼうっとまた顔が赤くなるのを感じた。そしてクラス中がこちらを見る。

あの二人ってそういう関係だったの?とか、えーショック〜とか、なんとか。教室が騒がしくなっていくのを感じる中、いつもの女子集団が一斉にこちらへ寄ってきた。

「えー流星くんウチらは〜?」
「希がぶっちぎりで一番可愛ええやろ!」
「この人より希の方が可愛いやん」

うわ、と思いつつ流星くんを見ると、一切煩わしそうにせず、むしろ「あーー」と頭を悩ませているようだった。

「みんな可愛いと思うで」

その言葉にキャー!と黄色い声を上げる人、みんなかぁと落ち込む人など様々だったが、教室はいよいよ混沌としてきた。どうしよう、私になにかできるかなと思案していると、流星くんがこう続けた。

「でも、Aさんが俺の中ではかわいいやから」

私が 流星くんの中で かわいい。
言葉を反復する中で、確かに鼓動は高鳴っていた。

( ……つまり、どういうこと?)
混乱しているのは皆同じなようで、解釈次第ではとんでもないことになるそれを理解している人は少ないようだった。




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ぴの山(プロフ) - み(名前)さん» こんにちは、それなら何よりです。。!読んでくださりありがとうございます! (2022年8月14日 14時) (レス) id: df2014b5f8 (このIDを非表示/違反報告)
み(名前)(プロフ) - 青色ジャス民です。めっちゃキュンしました (2022年8月14日 1時) (レス) @page28 id: 5d7aa8d35f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴの山 | 作者ホームページ:.  
作成日時:2021年7月31日 16時

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