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海に着くと、ボランティア団体らしき人がいたので、先生と一緒に駆け寄った。挨拶をすると、みんな優しく出迎えてくれて一先ず安心。
「あ、Aさん。おはよ」
輪の一番外側にいた神山くんが声をかけてくれた。私服で来ていたから明らかに場違いだったと反省する。
「おはよう」
「先生もおはようございます」
「ん、おはよ。神山来てくれてありがと」
「いえいえ…」
こちらこそ誘っていただいて嬉しかったです、なんてお礼合戦が始まりそうなのを、ボランティア団体の会長の方が止めてくれた。中間先生は会の奥さん方と意気投合していて、その場の流れもあり一緒にごみ拾いをすることとなった。
親交のある人たちでまとまった方がいいということで、私と神山くん、中間先生の三人で少し離れた海岸を歩く。
「Aさんはなんで今日制服なん？」
「いや、制服しかダメ！って時に備えて…制服で来てみた」
Aさんって結構考え込むタイプ？って言われて、多分そうだと思うって返した。
現に、神山くんから言われたことを未だに考えてしまっている。真面目な神山くんのことだから、冗談とかその場のノリだなんてない、はず。
「海のゴミってどうやったら減るんでしょう」
神山くんが独り言のように呟いた。
「一人一人が心がけたら減るかもな」
「ゼロにするってできないんでしょうか」
「そりゃ、海のゴミのあらゆる経路を辿って、全部を遮断すればできないこともないかもしれんけど…」
そんなんあまりにもやり過ぎやし、それするくらいなら別のところにお金かけるんやろうなぁって、中間先生はどこか他人事。
「中間先生だったらしますか」
「どうやろ…この世の問題が漂着ゴミしかなくなって無限にお金が掛けられるんやったら考える」
意外と厳しい、などと思っていると、「俺はやるって決めたら徹底的にやるけど」なんて呟くから思わず立ち止まった。
足元のプラスチックごみが風に飛ばされて、必死に追いかける。すると中間先生に手首を掴まれた。あと少しで海に足を入れるところだった。
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