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それから私たちは、半年に一度会う仲となり、必ずと言っていいほどキスをした。触れるだけのキスは、淳太くんの機嫌や色恋によって回数は違った。
今まで、どんな恋愛事情も決して私に打ち明けなかった淳太くんが、唯一私に明かしてくれる手段みたいなものになっていった。
キスしたからといって、淳太くんから告白してくることはなかった。でも私は、いつか淳太くんから言ってくれると信じてずっと待っていた。告白は、相手からしてほしいから。
でも、淳太くんはいつまでも私に「好き」とは言わなかった。キスの前にそれらしいことも囁かずに、キスした後も何も無かったかのような顔をする。
──これで十分。そんな惰性を認めそうになって、でも淳太くんを好きなのは私なだけだったら、こんな関係絶対にダメだ。
「じゅ、淳太くん、」
「……」
「もうやめよ」
淳太くんの顔が近づいてきた時、私は彼を制した。
「お互い、好きでもないのに、こんなことするの…私は耐えられん」
「……それもそっか」
目を伏せ、ゆっくりと離れてく淳太くんの裾を掴みかけて、その手を下ろした。
本当は、淳太くんに好きって言ってほしかっただけなのに。この関係がダメと思ってるなんて嘘、強がりで要らない正義心。
「このこと、誰にも言わんで」
「うん」
「絶対。なかったことにして」
素直に、忘れないでほしいとか言えばいいのに、淳太くんから気づいてほしいなんて女々しい。
それからは、淳太くんとなるべく連絡を取らないようにして、彼から吹っ切れようとした。だから中学でできた彼氏と色んな場所に行ったし、ハグとかキスとかもした。
したけど、しっくり来なくて、余計淳太くんのことを思い出してしまうから結局別れた。彼は最後まで笑顔で「ごめんなぁ」って謝るからどんな顔をしていいか分からなかった。
朝の読書の時間。淳太くんが好きと言っていた作者の本を見つけ、運命の糸を手繰り寄せるように手を伸ばした。
( この本を読んだら、淳太くんのこと忘れよう。)
そう心に決めて、でも結局、三回ほど読み通してしまった。
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