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全体的に雰囲気が明るくなった気がして胸が踊る。神山くんのセンスに感銘を受けていると「買ってくる」とレジの方へ言ってしまった。なんだか強請ったみたいで、また申し訳なくなる。
「神山くん、また買ってもらってごめん」
「ええんやで、俺がプレゼントしたくて買ってるんやから」
でも、と私が抗議したところで、神山くんが私の手を引っ張り、薄暗い路地裏に連れて行かれた。
「Aまた申し訳ないって思ってるやろ」
「うん…」
「またお礼とかお詫びとかって思った？」
「…思った」
そういうの勘違いさせるって前に言ったやんという神山くんの言葉にはどこか棘があった。
「でも本当に、私は神山くんに何もできてないから……」
「え、じゃあお礼に何かしてくれるん？」
「いや…それは、内容によるというか……」
神山くんにリボンを解かれ、キスされそうになった時のことを思い出し、一歩引き下がるとそこはもう壁で、路地裏を抜けるルートを確認してみる。
「じゃあ、さっき買ったネックレス付けさして」
「え？うん、いいけど…」
てっきりまた何かされるのかと思っていたから、少し拍子抜けしてしまった。自惚れや思い上がりだったのかと恥ずかしくなり、急いで背を向ける。
ネックレスをゆっくりと掛けられ、首元に神山くんの指が触れて驚いてしまう。今の神山くんに見られてたかなって思うけれど、何も言わないから大丈夫。
「ネックレスを贈る意味、Aは知ってる？」
「…え、いや。知らんけど…」
知らんなら知らんでいいって言うから、余計気になってしまう。カチッとネックレスを付け終わった音がして、振り向こうとすると、神山くんが両手で優しく私の首を掴む。
「ぁ、ど…どうしたん」
「たまらんなぁって思って」
「え…なに、それ」
神山くんの艶のある声は何やら恍惚としていて、何故か淳太くんに手首を強く掴まれたあの日を思い出した。
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