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教室に女子の笑い声が響く。先生や友達の悪口、根拠のない噂話、大きい声では言えない話も筒抜け。私のクラスの日常はこんな感じ。
「放課後、職員室にワーク取りに来て」
「はい、分かりました」
先週の課題であったワークを点検し終わったみたいで、教科係の私は中間先生に呼ばれたというわけ。私の返事に頷いた先生は、「いつもありがとな」と微笑みを残して立ち去って行った。
「Aさ、神山のことどう思う？」
「どう…？」
先生を見届けるやいなや、友達から声を掛けられた。私は幸運なのか不幸なのか、クラスの中心的女子グループに(一応)入っている。仲間外れにされるよりだったら幾分かマシなので耐えきるしかないのだが。
「神山くんか……」
眼鏡をかけている神山くんはいつも教室の一番後ろの窓側の席で本を読んでいる人だ。誰かと一緒にいるところをほとんど見たことがなく、皆が小馬鹿にする、ストレスのはけ口のような人になっている。
「ま、真面目」
「真面目か〜〜！でも真面目ってつまんないよな？」
「ただこまめに勉強して本読んで何が楽しいんやって話ー！」
ギャハハという決して上品ではない笑い声が教室に響いて、クラスメイトの顔が強ばったのが分かった。
「あ、今日の掃除全部神山に任せよ〜」
「そうしよ、Aも今日のカラオケ来るやろ？」
「え、あー…今日放課後残らんといけないから…」
「マジ？彼氏？あ、中間先生とか？」
中間先生とA付き合ってるもんな、なんてそんなのもちろん冗談でその場のノリ。
「さっき話してたし！」
「今日はどこで会うん？指導室？保健室？」
「ここは空き教室やろ！」
隣の教室を指差す子に、それや！とみんなが共感してまた笑う。いやだから、中間先生と私は何もないし、教科係なだけだし。
「じゃ、中間先生と楽しんでな〜」
掃除のことも気にせず颯爽と帰っていく彼女たちに適当に手を振る。
「神山くんごめんなぁ」
「え、いや、大丈夫やで…？」
今日も神山くんと二人で掃除場所へ向かう。
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