* ページ44
.
それから、二人で向かい合って椅子に座っていたけれど、話すにも何も話せばいいのかとか、何となく気まずいなとか考えてしまって、結局黙り込んだまま。
「ただいま〜」
部活に行っていた大毅くんが帰ってきた。「鍵開けといてくれてありがとぉ」なんてお礼されてしまう。
「あれ、どしたん」
「あ、しげおかえり。夕飯テイクアウトでいい?」
「ええで〜またあのお兄さん来るかな?」
ニコニコしながら着替えに行った大毅くんを見送る。結局、買ってきた材料は明日以降に使うことになった。
「あの、A」
「は、ハイ」
「昼間のことは、妹たちに煽られたのもあるけど…軽はずみな行動をしそうになってしまって、ごめんなさい」
深々と頭を下げる智洋くん。
「ああ、いや、私の方こそ…ごめんなさい」
「ううん、ほんと、順番考えられてなくて…」
ずっと、傷付けてしまったかなって不安やった、と智洋くんは明かしてくれた。いや、それだけで傷つくことなんてないし、むしろ私は意識してしまっていたから。
「傷ついてないで」
「よかった……」
安心して息をついた智洋くんが私の肩に手を置く。そしてまた、昼間のことが頭に過ぎる。
「あの、智洋くん…」
そういえばあの時、智洋くんは何か言いかけていたけれど、一体何だったのだろう。
「え……あ、ああごめん!」
私の胸中を察したのか、急いで離れる智洋くんの耳は赤く染まっていて、今私の同じ気持ちなのかなとか考える。
「智洋くん、一つ聞いてもええかな?」
「うん、なに?」
「智洋くんが、昼間──」
「神ちゃん、俺ピザ食べたい!」
部屋の扉を勢いよく開けて出てきたしげに、私たちは急いで距離を取る。不自然じゃなかったかなと大毅くんを見るが、少し不思議そうにしただけだったので大丈夫だろう。
「じゃーピザにしよか。一人一枚?」
「でも節約せなダメなんじゃ…?」
「……あ」
嫌なことを思い出したような顔をするしげが小さい声で「ピザはまた今度……」と呟いた。
.
392人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズWEST」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぴの山(プロフ) - ひなさん» ありがとうございます。期待に応えられるように頑張ります…!! (2021年7月3日 15時) (レス) id: 8ff15dce38 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - はい!最高です。更新待ってます。頑張ってくださいね (2021年7月2日 21時) (レス) id: eedadeaf95 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの山(プロフ) - ひなさん» 本当にこういう生活ができたら幸せすぎますよね(;;)!! (2021年7月1日 23時) (レス) id: 8ff15dce38 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - こんな生活、幸せすぎる、、、。 (2021年6月27日 21時) (レス) id: eedadeaf95 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの山(プロフ) - ナナさん» ありがとうございますー!そのことについてはもう少し先のお話で分かるので待っていただけるとと嬉しいです…!モヤモヤさせてしまってすみません…(;;)! (2021年5月21日 6時) (レス) id: 8ff15dce38 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぴの山 | 作成日時:2021年5月5日 17時