* ページ37
.
なんとか花火の時間に間に合って、智洋くんの元へ急ぐ。ゴールデンレトリバーを撫でている智洋くんがこちらを向いて「こっちこっち!」と手を振った。
「あ、ワンちゃんよしよししとる」
「めっちゃ可愛いんやもん〜やから声掛けちゃった」
茶目っ気のある笑顔を向けた智洋くんが可愛らしてこちらまで幸せな気持ちになってしまう。私と大毅くんも犬を撫でさせてもらって、別れを告げる時も全力で手を振った。
「あれ、しげがおぶってたけどAどしたん?」
「踏まれてもたらしくて」
「ああ、そっか…無理せんでな」
「うん、ありがと」
三人で土手沿いに並んで座り、花火を待つ。
「あ、そいえばしげ」
智洋くんがそう話を切り出して、先程射的で取ったという黒猫のストラップを渡す。大毅くんの顔が明るくなって、少し戸惑いながらも受け取った。
「これ三人でお揃いなんやで」
「え、そうなん!俺はなんで黒猫…?」
大毅くんに質問された智洋くんがこちらを向く。そういえば、大毅くんには黒猫と決めたのは私だった。
「えーっと…しょ、消去法…?」
「え!!なんやねんそれ!」
いやまあ、智洋くんが白の方が似合うかなという理由で大毅くんが黒猫になったのは事実なんだけれど。流石に失礼だっただろうか。
「でも、大毅くんやって白より黒の方が似合うかなって思ったし、黒猫っぽいなってなんとなく…」
「はは、ごめんごめん。Aが選んでくれたんやな」
言わせたみたいでごめんなぁって申し訳なさそうな大毅くんに否定したかったけれど、それもできないのが少し虚しい。
「二人ともありがとぉ」
満面の笑みを浮かべた大毅くんがお礼を言った瞬間、花火が打ち上げられた。三人で夜空を見上げる。
赤、青、黄。色とりどり、形豊かな花が次々と夜空に咲き、一瞬の花畑が夏を彩る。その閃光に目を奪われていると、遠慮がちに着物の裾を引っ張られた。ゆっくりとそちらを向く。
.
392人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズWEST」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぴの山(プロフ) - ひなさん» ありがとうございます。期待に応えられるように頑張ります…!! (2021年7月3日 15時) (レス) id: 8ff15dce38 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - はい!最高です。更新待ってます。頑張ってくださいね (2021年7月2日 21時) (レス) id: eedadeaf95 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの山(プロフ) - ひなさん» 本当にこういう生活ができたら幸せすぎますよね(;;)!! (2021年7月1日 23時) (レス) id: 8ff15dce38 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - こんな生活、幸せすぎる、、、。 (2021年6月27日 21時) (レス) id: eedadeaf95 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの山(プロフ) - ナナさん» ありがとうございますー!そのことについてはもう少し先のお話で分かるので待っていただけるとと嬉しいです…!モヤモヤさせてしまってすみません…(;;)! (2021年5月21日 6時) (レス) id: 8ff15dce38 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぴの山 | 作成日時:2021年5月5日 17時