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そういえば、最後に遊園地に行ったのはいつだろう。
中学生の時の修学旅行──は、風邪を引いて行けなかったから……。あ、でもその後に家族旅行で少しだけ行ったのだった。新しい家族になって、初めての旅行であった。
思えばあの時から、私と大毅は普通に話しをできるほどまでに関係を修復していった。逆に言えば、それまでは修復不可能なほどに険悪な仲であった。
┈┈┈┈┈
私の母と大毅の父が再婚し、私と大毅が義理の姉弟になったことは、どこから漏れたかすぐに学校中に広まった。よくない噂を立てる人、そんな事実だけで距離を取る人が沢山いたものだ。
だが、私の周りには理解してくれる人が多く、特段嫌がらせのような何かを受けることはなかった。しかし、大毅はそうもいかなかったらしく、度が過ぎたからかいや嫌がらせを受けていたようだった。
大毅がびしょ濡れで帰ってくる度、裸足で歩くところを見掛ける度、心が傷んだ。けれど、私には何もできなかった。
「大毅──」
「名前で呼ぶな、吐き気する」
大毅の怒りの矛先は私だった。大毅の身を案じて話し掛けると、必要以上に突き放されては舌打ちをされる。遠ざけられて、睨まれては無視される。
それでも大毅に怒りが湧くことはなく、ただ自分の無力さが悔しかった。
だが、やがて大毅を取り巻く環境に変化があったのか、登校時と違う様子で帰ってくることは殆どなくなった。それどころか、どうやら友達と日が沈みきっても公園で遊んでいるらしく、夜遅くに帰ってきてはお義父さんに怒られていた。
大毅が辛い思いをしていないならそれでいいと安心する。もう私のことで苦しまないならそれでいいと胸を撫で下ろす。それでも、大毅の私に対する態度に変化はなかった。
「しげって姉ちゃんいたよな？」
「え？おらんよ？」
「あれ、そうやったっけ……？」
「おらんおらん」
あんな奴、家族なんて思いたくない、と。横顔から伺える大毅の瞳がぼやいている気がした。
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作者名：ぴの山 | 作成日時：2023年5月25日 15時
