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問題も解き終わっていないテキストの上に肘を置いて、じーっと私を見つめている。
「連絡来たから早く返さないとって思って…」
「また照史先輩？」
「そうやで」
どうやら墓穴を掘ったらしい。分かりやすくずーんと肩を落とした大毅が、「…勉強します」と今度こそシャーペンを動かし始めた。
大毅から告白まがいの言葉を受けてから、大毅は私へ好意的な態度を取ることが多くなった。前みたいに不機嫌かと思ったら迫られたり、私の何気ない言葉に本気になったり、気が狂いそうだ。
それはきっと、ずっと弟として接してきたからこそのむず痒さもあるかもしれないが、それ以上に私はもしかしたら大毅のことを──。
「everってここに入れるんやったっけ？」
「ん？うん、そうやで」
大毅の問いかけによって思考をやめた。やめて正解と思い込むしかなかった。
それから、何とかして私も行きたい場所を絞り込んで、照史先輩にリンクを送った。トントン拍子に予定が決まり、「来週楽しみにしてる」というやり取りまで終えて、私は眠りにつく。
もうこのまま、何も考えたくないというのが本音だった。大毅への気持ちを整理するのが怖い。このまま照史先輩を仲を深めて、もし先輩がいいのであればこれからも親しくしてもらって。
( ………それでいいのに。 )
暗い部屋で目を閉じていても、大毅のことが頭に浮かぶ。少し前まではうるさかった大毅の部屋は、勉強をしているからか物音が一切しない。
勝手に心の中に入ってくんな、と寝返りを打った。
┈┈┈┈┈
数日して、ある日。満面の笑みを浮かべている神野が近付いてきた。
「クラスの女子で今度遊園地行こうって話してんねん、Aもよかったら来て！」
「え、私も行っていいん？」
「当たり前やん！Aと遊んだことないからって、みんな来てほしいって言っとるし」
どう？と首を傾げる神野に、私は嬉々として頷いたのだった。
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作者名：ぴの山 | 作成日時：2023年5月25日 15時
