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「美味しかったーー！」
濃厚なフレーバーが口元に甘い香りを残す。頬が蕩けるような感覚は心地よく、舌触りの良さにあっという間に食べ終わってしまったのだった。
「姉ちゃん、2キロ太ったな」
「なんでや！せめて0.5キロやろ」
「…0.5キロならえーの？」
不審そうにこちらの顔を伺う大毅から目を逸らすと、目の前にコンビニが見える。流石にアイスクリーム三つ食べたし、ここで食べ物を追加するのは──。
「コンビニ、コンビニ寄ろうや」
なんだか必死な大毅に連れられ、入店する羽目になってしまった。おのれ大毅のやつ……私の見えないところで姉ちゃんデブ化計画でも遂行してんのか……。
でも一度入ってしまえばもう食べ物が目に入ってしまうもので、このお菓子切らしてたなとかこれ美味しそうだなとかあれこれと手に取ってしまう。
「姉ちゃん」
「なにー？」
「おにぎり食べようや」
駄々をこねる子供のように私の袖を引っ張る大毅。おにぎり食べたいん？と聞くと、別にとそっぽを向くからこいつは何をしたいんだ……と思いつつ。
導かれるままレジ前のおにぎりコーナーに来てしまった。絶対服の袖伸びた……と落ち込んでいると、何やら横から視線を感じる。
「………なに」
「…ん？いや？」
真横に立ってチラチラこちらの様子を伺う大毅だが、それで気付かれないとでも思っているのだろうか……。
「…好きなおにぎりの具？」
「は！？」
「別なんでも好きなんやけど」
そんなに拘ることなのだろうか。
疑問に思いつつ、とりあえず鮭とツナマヨを入れると、「一つに絞れや、太るで」とぼやかれた。つくづく面倒な弟だと思いつつ、けれど商品を戻す訳にもいかないので、ツナマヨは大毅の分ということにしておく。
レジへ行く頃、気付いたら籠に雑誌と飲み物が入っていたので流星くんの仕業かと思われる。ここに来てまでも大毅の奢りというのは有効らしい。
「今日はありがとうございました」
「ううん、こちらこそいきなり誘ったのにありがとう」
「今度お礼さしてください」
気の置けない友人にもお礼を欠かさないなんてきっちりしてるなぁと大毅の方を向けば、何故か真剣な目付きをした大毅と目が合ってしまった。
──え？
もう一度流星くんの方を見ると、じっと私を見つめているのだった。
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