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大毅の昨日の様子を思い出し、今日の弁当のご飯に鮭フレークを入れてみた。今度何かあった時も鮭おにぎりを買おうと思いつつ、弁当に蓋をする。
いつもの七時半。大毅の部屋へ向かいドアをノックするが、案の定返事はない。「入るで〜」と一言断りを入れ部屋へ入るが、ベッドに大毅はいなかった。代わりに──。
勉強机へ突っ伏したまま眠りへ落ちていた。大毅の大胆で崩れた字がテキストへ広がっており、解けている問題より解けてない問題の方が多い始末。
というより、大毅が勉強するなんて珍しい以下の問題だ。今日は矢の雨でも降ってくるのだろうか……。
「ここの公式は違うやろ、こっち使ったらXが求められるから、そしたらその公式でYも分かって……」
一年生の問題とはなんだか懐かしい。意外と覚えているものだな。
「んー………XがYで、YがXで……Xが俺、Yも俺………」
「どんな夢見てんねん……」
よっぽど数学の問題に苦戦していたのであろうか、XやらYやら寝言を口にする大毅は魘されている。唸ったまま身動ぎをし、顔の向きを変えると。
そこにはシャーペンで書いた数字が、頬にくっきりと写された間抜け顔が現れたのだ。
「…ぷっ、」
危ない。思わず吹き出してしまうところだった。
いやいや、起こしに来たのだから吹き出してむしろ正解なのだ。
「大毅、起きろ〜〜!」
「んん……Xのアホ〜、Yのアホ〜」
「どういうことやねん、早よ起きろー!」
「…姉ちゃんのアホ〜……」
「やから、大毅よりは成績いいって」
何回言ったら分かんねん、とぼやきつつ、そんな大毅の頬に軽くビンタをお見舞いしてやった。衝撃が段々と伝わって、大毅を目覚めさせることに成功したようだ。
「……起きた?」
「ん……うわあぁっ!」
薄く瞼を開いた大毅の顔を覗き込めば、化け物でも見るかのような目で叫ばれた。朝だし、脅かす意図はないし、そんなに驚かなくてもいいだろう。
「は……あ、朝……?」
「バッチリ七時半やで」
「あーー、寝落ちたか………」
「顔に汚い字が写っとるで」
「へ!?うそぉ!」
飛び起きた大毅が千鳥足のまま洗面所へ向かい、汚い叫びを家中へ響かせるのにそう時間は掛からなかった。
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