ガラスの靴で息絶えて【夏JW】 (ページ35)

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それから何事も無かったかのように離れた神山くんが「遅刻してまうし、もう行こか」と微笑んだ。そんな彼を振り払って一人で登校できるほど、今の私には度胸がなかった。

腹の虫がぐうぅとなって、そういえば今日何も食べてきてないなとようやく気付いた。

思い出すのは、仏頂面の配達員小瀧くんと、すっかり委員長の顔に戻った神山くんのこと。

( ──もう誰を信じたらいいか分からない……。)
誰も信じられない、誰も頼りに出来ない。
私にはもう、行く宛てがない。

「また朝ごはん食べるのサボったんか？」

俯く私へ声を掛けてくれたのは桐山先生だった。

それはまるで暗闇に光が差すようだった。

いつもならば時間が無かったとか面倒だったかとか言い訳を並べるのだが、今日は打って変わって黙りこくる私を見て、何かを察したらしい。

「…何かあった？」
「………」

優しい目を向けられて、行ってしまおうかと躊躇ってしまう。

「………」
「いつでも相談乗るからな」

少々身を寄せた桐山先生はチロルチョコを渡してくれた。

本音を求められても言えなかった。もう何もかもに疑いの目から向けるようになってしまったのか。

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