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いつもの通り机に突っ伏して仮眠をとる流星の名を呼ぶ。藤井くん、なんてもう幼馴染ということはバレてるのになんだか学校での呼び方の癖が抜けなくて。

むくり、と起き上がった流星は私の言葉を無視してどこか行こうとしてしまうから、慌てて彼の前に立った。


「藤井くん」
「……」
「藤井くん、聞いて」
「……」

どこまでも暗い表情の流星に、なんだか話しかけてしまった罪悪感が襲ってきた。神山くんの厚意を突っぱねてでも距離を置く方がよかったのか、と。

「あのね、今日のお昼……」
「──な」
「え……?」
「近付くな!」

流星の初めて聞く大声に、クラスメイト全員が固まった。当然私も何と返したらいいか分からず、立ち尽くす。


いつもは騒がしい教室が静まり返る中、気の抜ける声が上がった。

「焼きそばパン食べたい人おらんー?俺腹減ってないから希望者でじゃんけんな〜」

左手に持った焼きそばパンをひらひらさせる重岡くんにクラスメイトはハッとして、彼の周りに群がる。先程の流星の剣幕などなかったようにまたいつも通り進む日常に少しだけ安心した。

いつの間にか流星はいなくなっていた。


「……ごめんなぁ」

神山くんが眉を下げて、申し訳なさそうにした。



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作者名:ぴの山 | 作成日時:2021年8月8日 15時

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