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楽しそうにしていたクラスメイトも、私が教室に入れば静まり返る。数人の女子たちが私に近づいてきたところで、神山くんが前に出た。
「またAに何かするつもりなん?」
神山くんの通った声が教室に響き渡ると、昨日写真をばら蒔いた子が前に出る。
「神山くん、この女にいいようにされてるだけなの分からん?流星くんに引っ付いて、おんぶしてもらう幼稚な──」
「あんたにAの何が分かんの?」
押し黙った子をひと睨みした後、ふっと柔らかく微笑んで「ま、俺もAのこと全部知ってるわけやないけど」と私を一瞥した。
「憶測だけで騒ぎ立てる方が幼稚やで」
まもなくその場は収まり、直後に桐山先生が教室に入ってきた。いつものように茶化す生徒は、先程の神山くんの剣幕により威勢を失っていた。
昨日と、一昨日と、それ以前とも態度が変わらない桐山先生。私の頭には、先生の車で見かけた写真。
半分ほどしか見えなかったけれど、あれは間違いなく拘束されている女性が写っていた。恐怖に怯える表情、涙と汗で濡れた肌はその光景を鮮明に脳へ映し出す。
( あれは、桐山先生が縛り上げて、撮影したのかな。)
いやいや、そんなわけないと首を振る。
あの温厚な桐山先生のことだから、きっと何かの手違いであろう。そうでなくとも、今はそういうことにしておきたい。
それよりも私は
「…小瀧くん」
他に考えなきゃいけないことがある。
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作者名:ぴの山 | 作成日時:2021年8月8日 15時