ガラスの靴で息絶えて【夏JW】 (ページ21)

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いつの間にか放課後になっていて、予定詰まった放課後になんとか時間を作ってくれたそう。

「先生、わざわざありがとうございます……」
「ううん、気にせんといて」

おおらかな先生の雰囲気に、先程まで高ぶっていた感情が落ち着く。

「親御さん、迎えに来れる？」
「多分、来れないと思います…夜までずっと仕事ですし」

だからといって歩いて帰る気力もないし、バス代も持ってない。永遠にベッドの上で寝ていたいと思うけれど、そういう訳にもいかないのだ。

「…送ってくか？」

待ちわびていたようなその言葉に、ゆっくりと頷いた。

先生の車は大人っぽくて、少し甘い匂いがした。散らかっててごめんなんて言われたけれど、全くそんなことなくて。

おずおずと助手席に座ると、車が発進した。

「A、最近朝ごはん食べてる？」
「え、いや…時間が無くて食べれてないですね」
「朝ごはんは食べなあかんで、一日の活力になるんやから」

どうやら桐山先生は、私がHR中に飴を舐めてることを気づいていたみたいだった。

それからしばらくの沈黙が続く。そういえば、まだ家に着かないのだろうか。毎朝歩いて通ってるから、そろそろ着いてもおかしくないのだが。

先生に聞こうと来たけれど、運転中だし、どうやら聞けない雰囲気だった。なんとなく、嫌な予感が頭をよぎる。

視線を落とすと、グローブボックスから何やら写真がはみ出しているのが見えた。

そこには、全身縄で縛られた──

「着いたで」

桐山先生は笑った。

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