ガラスの靴で息絶えて【夏JW】 (ページ2)

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長い遊歩道を歩いて、向こうに小さく学校が見えてきた頃。私は立ち止まり、流星は依然歩き出す。これがもう当たり前になってきていた。

別に、幼馴染ってことが絶対バレたくないってわけじゃないけど、極力噂になってほしくもない。

学校での流星は無口で孤高の狼のようだけど、その佇まいや整った顔に惚れる女子は多い。女子に嫉妬されると面倒くさいから、こうして途中までしか一緒に行かないのだ。

逆になんで途中までなのかというと、流星が私のことが心配だからだそう。少し過保護すぎるとも思う。

「あーーー！A！おはよう！！」
「げ…」

昇降口に響く大きな声、歯の多い笑顔。最近よく私に話しかけてくる重岡くんが少し苦手だ。

「ん、なんか靴いつもとちゃうやん」
「え」
「紐解けてる！」

Aも抜けてるところあるんやなぁなんて快活に笑う重岡くん。クラスが一緒になった当初は全く接点なんてなかったのに、ある日からいきなり話しかけてきたのだ。それは多分、七月に入ってから。

「あ。俺が結んだる！」

制止する隙もなく、重岡くんがしゃがん私の靴紐を手に取った。

今朝のメール。俺の靴なんて言われては、今すぐにでも彼を引き剥がしたかった。周りに人が集まって、そんなのできなかったけど。

「結構綺麗に結べてない！？」
「…そうかもね」

重岡くんは勝手に不器用なイメージがあったから、少し意外。

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