30 ページ30
.
じめじめとした空気に、冷たい風が肌を刺すようだがせっかく着替えたしと足を踏み出した。近くのケーキ屋に立ち寄り、ショートケーキとせっかくだからプリンも買う。あとは、メンバーの皆さんに機会があればだけど渡す用のクッキーも買っておく。
箱を受け取り、お店を後にした時にふとこの前の藤井さんに話したことを思い出す。ファッションのことは藤井さんに聞くとして、ダンスメンバーであるキーコにとって踊れることは勿論必要だ。せっかく外に出たし、ホームセンターまで行ってダンスに関する本でも買おう。それに、この前の藤井さんへのお礼の品も見ておきたい。
「あの、小泉Aさんですよね？」
雨がぽつぽつと降り始めたとき、急に声をかけられた。振り返ると、各々飲み物を手に持った女の子四人組がこちらを見ていた。
「あ、はい…そうです」
「わーーー！やっぱり！！活動休止めっちゃ寂しいです！！！」
「早く戻ってきてください〜〜！！」
甲高い声が頭に響いて、耳へ向かいそうな手を抑える。
「それは、個人の問題ですから…私にも私なりのペースがあるんで……」
「やっぱそうですよね…ウチらいつまでも待ってるんで〜〜！！！」
その言葉にほか三人もうんうんと必死に頷く。
「じゃあせめて写真一緒に撮らせてもらっていいですか？SNSとかあげないんで！」
お願いします！と土下座をしてきたので、少し迷ってOKした。こういうのって実際ダメなんだろうけど、土下座されているところを誰かに見られるのも問題な気がする。
「ホントですか！？！」
「まじ？？ありがとうございますぅ！」
まだ空いていないお店の屋根の下に行き、私を取り囲んで写真を撮る。
「はい、チ──」
内カメラにしたスマートフォンが向けられる。その画面がカメラではなく、インスタライブだと気づいた瞬間、コーヒーが顔面に飛んできた。続いて冷たい水が全身に掛けられ、体を勢いよく押される。アスファルトに体を打ち付けてしまい、傘が道路に飛んだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 120人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
るな(プロフ) - もちろんです！これからも応援してます！ (2021年4月28日 23時) (
レス) id: 8624103a6b (このIDを非表示/違反報告)
ぴの山(プロフ) - るなさん» ありがとうございます〜！最後までお付き合いいただけると嬉しいです…！！ (2021年4月28日 21時) (レス) id: 54952e91f1 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - ものすごくストーリーが好きです！何度も読み返してます！毎日更新楽しみにしてます！ (2021年4月28日 18時) (レス) id: 8624103a6b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：＿＿ | 作成日時：2021年4月10日 18時
